事故米の不正転売事件で、米粉加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区、破産
手続き中)が2004年以降、事故米を出荷する際に九州工場(福岡県筑前町)
での加工能力を超えた加工量を農林水産省に報告していたことが、同省の
調査などで13日、分かった。同社は当時「残業して加工した」と同省に
虚偽説明。同省はこれをうのみにして実態を確認せず、
結果的に不正転売を見逃していた。
九州工場を管轄する農水省福岡農政事務所は04―08年度の間、96回に
わたり九州工場に立ち入り検査を実施したが、「実際に残業して加工して
いたかどうかは、職員の退庁時間後のため確認しなかった」(同事務所
消費流通課)。同課は「三笠側の説明はすべて虚偽だったが、
確認せずに信用してしまった」と検査に不備が
あったことを認めている。
福岡農政事務所によると、事故米を取り扱う業者は加工量や出荷先などを
明記した加工計画書などを農水省に提出し、実際に粉砕加工して工業用
のり原料として出荷することが義務付けられていた。三笠フーズの
九州工場の事故米の加工能力は、1日10トンだったという。
同社が事故米を購入し始めた02年当初、同省に報告されていた加工量は
多くても1日数トンだったが、徐々に増加。04年以降には加工能力の限界を
超えて「1日12―13トンを粉砕し出荷」とする加工計画書や報告書が
同省に頻繁に提出されるようになった。
記事
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news005015.html (次へ続く)
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同社関係者によると、加工量の増加について、当時農水省側には「従業員
が通常より1―2時間残業して加工している」「休みもつぶして
フル稼働させた」などと説明していたという。
実際には同社社長、冬木三男容疑者(73)=不正競争防止法違反容疑で
逮捕=らは同省などから購入した事故米を加工せず、食用米に混ぜるなど
して食用と偽装。酒造会社などに九州工場から直接運搬していた。
加工能力を超えた報告が増え始めた04年以降は、殺虫剤「メタミドホス」
が検出された中国産もち米約800トンを購入するなど、事故米の取り扱いを
拡大させた時期と重なる。同社は同省への報告でも加工量を増やし、
購入量とのつじつまを合わせる狙いがあったとみられる。
(終わり)