優れた書籍 継続発行顕彰
重いテーマで頑張る心意気評価
優れた書籍の発行を続けている出版社を顕彰する第24回梓会出版文化賞特別賞(社団法人出版梓会主催)を、
富山市北代の桂書房(勝山敏一代表)が初受賞した。
人文科学関係を中心とした重いテーマの本を出版している活動が、高い評価を受けた。
日本出版クラブ会館(東京)で20日に表彰式があり、小峰書店(東京)が本賞を、桂書房とコモンズ(同)が
特別賞を受けた。地方出版社の受賞は3団体目で、個人経営の出版社は初めてという。
桂書房がアパートの一室を借りて出版活動を始めたのは1983年。
勤めていた富山市の出版会社が倒産した後、書店の外商マンだった勝山さん(65)は、径書房(東京)の
季刊誌「いま、人間として」に大きな感銘を受け、「人に力を与えられるような出版」を決意した。
「家族にも内緒で退社」し、出版社を立ち上げた。
社名は、径書房の影響を受け、名字の「勝」と、好きな樹木名とのゴロ合わせで桂書房とした。
久保尚文著「越中中世史の研究」を初めて世に出してから四半世紀。刊行書籍は400冊以上。
08年も4人のスタッフで「『トナミ運輸』内部告発・裁判全記録」(串岡弘昭著)や「とやまの石仏たち」
(尾田武雄著)、「活版師はるかなり」(勝山敏一著)などを刊行。映画「おくりびと」を生むきっかけになった、
93年刊行の小説「納棺夫日記」(青木新門著)や、07年の原発をテーマにした「ためされた地方自治」(山秋真著)
も高い評価を得た。
出版梓会事務局は「桂書房は個人経営ながら、重いテーマの本を出して頑張っている。
表彰式でその心意気が伝わってきた」と話している。
授賞式から戻った勝山代表は「読者のみなさまや、郷土コーナーを設け支援してくださっている書店、
割り付け作業を肩代わりしてもらっている印刷所のみなさまのお陰」と感謝する。
受賞を機に「月1回の刊行ペースを維持し、富山の数少ない出版社として、出さなくてはいけない
出版も引き受けていきたい」と気持ちも新たにしている。
朝日新聞 2009年01月27日
http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000901270002