【社会】 「することがないんですよ…」 やり場のない気持ちに行き場のない鉄くず 抱える不安と在庫・・明日が見えない回収業者

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急激な円高と韓国・中国の建設鋼材の需要の落ち込みが、鉄くずの回収業や輸出業を直撃している。

 北海道、山形、千葉……。各地を訪ねると、行き場のない鉄のスクラップが巨大な山を築いていた。

 北海道釧路町。回収会社の敷地には、鉄くずが7メートルもの高さに積み重なり、そのそばで、
1人の作業員が回収した配電盤などを手作業で分解していた。

 「することがないんですよ」。経営者の村上祐二さん(35)が「ほかの社員には、工場の壁を修理させ
ている」と話した。

 昨年まで、1トン3、4万円で卸していた鉄スクラップは今年7月に7万円近い値をつけた。それが8月
になると、輸出先の韓国で建設会社の経営破綻(はたん)が相次ぎ、中国でも北京五輪の建設ラッシュ
が下火になったことで鋼材の需要が落ち込み、1万円を割り込んだ。

 さらに9月からの急激な円高・ウォン安で、輸出相手との価格交渉が折り合わず契約が成立しなくなった。

 その結果、村上さんの会社は8月、鉄くずの販売で1000万円もの赤字を出し、今月、16人いる
社員に土曜の出勤を月1回に減らすよう命じて給料カットに踏み切った。「時間ができるから家族旅行
にでも行っておいでよ」。明るく話してみたが、顔が引きつっていたのが自分でわかった。

-続く-