【社会】日清食品のカップメン 今年4月以降に寄せられたクレームのうち、21件から防虫剤成分が検出されたと発表
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■防虫剤(パラジクロロベンゼン)
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◆室内を汚染し頭痛や吐き気のおそれ 使用量守り収納容器で使用を
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セーターやコートなど冬物の衣類を収納する際に使用する防虫剤。大切な衣
類を害虫から守ってくれることから、多くの家庭で利用されているが、「部
屋が薬品臭くなり、目がチカチカする」「お米に防虫剤の臭いがついた」な
どのトラブルが発生している。
静岡県環境衛生科学研究所はパラジクロロベンゼンを主成分とした防虫剤の
商品テストを実施。その結果、「医療用収納容器によっては防虫剤成分が外
に漏れて、部屋の揮散濃度が高くなる恐れがある」ことが分かったとして、
収納方法や換気に気をつけるよう呼びかけている。
パラジクロロベンゼンはシックハウス症候群の原因物質の一つとされており、
厚生労働省が室内空気濃度に関する指針値を設定している。空気中に揮散し
やすく、濃度が濃いとツンとした臭いがするのが特徴で、目や鼻の粘膜を刺
激するほか、頭痛や吐き気を引き起こすことがある。
人への健康被害の恐れもあることから、同研究所は様々な衣類用収納容器に
防虫剤を入れ、容器の外にどのくらい揮散するのか、収納している衣類にど
のくらい付着するのかをテストした。
収納容器は静岡市内のホームセンターなどで売られていたプラスチック製の
ふた式と引き出し式の各1銘柄、木製の引き出し式1銘柄、段ボール紙製の
ふた式1銘柄の計4銘柄。防虫剤は市内のスーパーで販売されていた固形成
分が和紙に包まれているタイプの製品を用いた。
(続く)
プラスチック製のふた式に防虫剤を入れ、押し入れ内の防虫剤成分の空気中
濃度を測定した結果、気温が上昇する夏にパラジクロロベンゼンが多量に揮
散することが判明。夏の測定終了時には厚労省の指針値(1立方メートル当
たり240マイクログラム)の40倍もの濃度になった。
特に揮散が大きいのは段ボール紙製のふた式の収納容器。プラスチック製の
ふた式と比べ12倍となり、密閉性が低い容器では防虫剤成分が外に漏れ出
すことが分かった。
また、押し入れ内に収納容器を2箱入れた場合も検証。その結果、押し入れ
内濃度が1箱の時と比べて2倍以上の濃度に上昇することが判明。通常、衣
類ケースを何箱も積み重ねて収納することが多いことから、特に注意が必要
だと考えられた。
長期間防虫剤と一緒に収納した衣類は大丈夫なのか。テストの結果、取り出
した直後はパラジクロロベンゼンが付着していたものの、数日間陰干しする
とほとんど残存しなかった。
最近の押し入れはクローゼットなど密閉性の低いものが多いため、収納容器
によっては部屋の揮散濃度が高くなる可能性がある。
同研究所は▽密閉性の低い収納容器を使って衣類を保存するときは、容器を
カバーでおおったり、すき間をガムテープなどでふさいだりして、外に漏れ
ないようにする▽気温の高い季節に防虫剤を補充するときは押し入れや室内
の換気を十分にする▽表示をよく読み標準使用量以上は使わない、など取り
扱いに注意するよう呼びかけた。長期間収納した衣類については、日陰や風
通しの良い場所に数日間つるしてから使うよう勧めている。
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(おわり)