■業者、熾烈販売合戦 医師から要求も
業界で企業再編が相次ぎ、販売合戦が熾烈(しれつ)化する医療機器メーカーや製薬会社。
警視庁が先月、国立身体障害者リハビリテーションセンター病院(埼玉県所沢市)をめぐる
汚職事件を摘発し、医師と業者との癒着の一端が明らかになったが、人の命を預かり、
高い倫理が求められる医療現場は、一方で商売っ気むき出しの企業倫理に常にさらされている現実もある。
不正の温床となっている接待攻勢などの生々しい実態が、関係者の証言から浮き彫りになった。
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「公立病院の医師相手に金額が大きかったときは一晩で10万円。食事のあとキャバクラを2軒はしごした」
こう証言するのは製薬会社で医療情報担当者(MR)の経験を持つ30代男性。
彼は信越地方の中核都市にある支店に配属され、病院回りを担当。「接待相手の医師は病院でも力を持った
人なので、安い所には連れて行けない」と、1人2万円は下らない高級料亭などが選ばれた。
MRの本来の仕事は、先端の医薬情報などを医師に伝え、効果的な治療につなげるとともに、自社製品の
納入にもつなげていくことにある。しかし、医師に食い込むには営業努力が必要。診療終了後の大病院で、
医師にコンタクトを取ろうとするMRや医療機器会社の社員が列をなすのは珍しい光景ではない。
過激な接待攻勢は過去に何回も社会の激しい批判を浴びてきた。平成3年には、医療現場へのリベート支給を
禁止するための独占禁止法改正も行われている。
企業側も倫理指針を作成するなど努力する一方で、医療機関が個別訪問を禁止する例も増えている。(続く)
産経新聞 9月2日8時1分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080902-00000068-san-soci