「三菱商事」(東京都千代田区)が、国産豚肉の保護を目的とする「差額関税制度」に
違反し、デンマーク産の輸入豚肉などにかかる関税約42億円を免れたと東京税関から
指摘されていたことがわかった。
追徴税額は加算税を含めて45億円を超えるとみられる。輸入豚肉を巡っては
過去にも、同制度を悪用した食肉卸会社などが摘発されたケースが十数件あるが、
総合商社が不正を指摘されるのは極めて異例だ。
<中略>
食肉業界関係者によると、三菱商事は2005年、食肉輸入会社「フーデーン・ジャパン」
(07年に解散)など2社を介してデンマーク産冷凍豚肉を仕入れていた。
この際、フーデーン社が520円前後で輸入したと申告して関税を納付。三菱商事は
別の1社を経由する形で、200〜100円安い価格で購入していた。
しかし、東京税関の調査で、三菱商事が輸出元のデンマークの食肉加工会社との間で、
同社の日本法人だったフーデーン社を輸入者とし、三菱商事の購入価格は300〜400円と
事前に取り決めていたことが判明。同税関ではフーデーン社などはダミーに過ぎず、
三菱商事が関税約40億円を逃れるため国内市場での仕入れを装ったと認定した。
デンマーク側は過去、豚肉の在庫を三菱商事が引き受けてくれたことなどから、
同社の依頼に応じたとみられる。これとは別に、三菱商事は米国の豚肉加工会社から
直接、冷凍豚肉を輸入した際にも、輸入価格を実際より高く偽って申告。
2億数千万円の関税を免れていたとして、同税関から追徴された。
東京税関の調査の一部は刑事告発を前提にした犯則調査だったが、脱税したと認定できる
金額が少なかったことなどから告発は見送られたという。
差額関税を免れた豚肉は「裏ポーク」と呼ばれ、広く流通していると言われる。
三菱商事広報部の話「調査を受けているかどうかも含め、お話できない」
(2008年9月1日03時02分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080831-OYT1T00682.htm?from=ranking