水は大きな富を生む希少資源になりつつある。
そこに注目したウォーター・ファンドが相次いで組成されるようになった。
20世紀には世界の人口は3倍に増えたが、水の需要は6倍に脹らんだ。
当然、水をめぐる争奪戦も激化するに違いない。
ヘッジファンドにとっても、まさに「見逃せないチャンス到来」というわけだ。
世界的に水資源の枯渇が問題となる中で、いかに安定的な供給を確保するのか。
汚染された水の浄化技術やリサイクル、リユースを可能にする技術を有する企業や研究機関に対して、
世界の投資マネーが一斉に群がるようになってきた。
当然の結果であろうが、水関連企業の株価は急騰を続けている。
多くの日本人にとって水は自然にいくらでも手に入ると受け止められてきたようだ。
けれども、世界全体を見渡せば安全で安心して飲める水が手に入らない地域の方が圧倒的に多いのである。
中国やインドでは、人口の増加が止まらず、経済成長も著しい。
そういった国々においては、国家予算に占める水関連の投資額が毎年倍々のペースで増え続けている。
たとえば、中国では今後25年間で水の需要が120%は拡大するといわれているほどだ。
「水は21世紀の石油である。」
電力、ガスや電話などが中断しても、人は生きていける。しかし水を止められては、人は生きていけない。
であるならば、途上国の政府も国民も、どんな対価を払ってでも自らの生命を維持するために、
水道にはお金を惜しまないはずだ。
そのような観点から、欧米のウォーター・バロンズ企業は、発展途上国の上下水道事業に狙いを定めているのである。
日本ではあまり話題になっていないが、水道事業の民営化、また特定民間企業による水の支配体制は
こうして秘かに進んでいる。
ある意味では、ウォーター・バロンズの暗躍は石油危機以前の石油メジャーのような影響力を感じさせるほどである。
われわれも世界の水環境の変化に目を向け、水資源の有効活用に大きく貢献できる日本の水テクパワーを
支援すべき時であろう。
http://moneyzine.jp/article/detail/87657?p=4