【毎日新聞・コラム】異質はパワーなり 外国人留学生を増やし彼らの異文化や異なる発想を新しい力に変えよ=福本容子(経済部)

このエントリーをはてなブックマークに追加
1窓際店長見習φ ★
 米ミシガン大学のスコット・ペイジ教授は、大学院の入試責任者だったころ、試験の点数だけで
なく、学生の生い立ちや経験にも注目した。一定水準以上なら、多少点が低くても、違うタイプの
学生を選んだという。「大学は教授からだけでなく、仲間からも学ぶ場所。優秀でも同質の子ばかり
では、豊かな発想が生まれない」からだ。

 問題解決能力が「20」あるエジソンが30人集まっても、「25」程度の力にしかならないが、平均
能力が「15」でも、異質の30人が集まると、集団の力は「40」にもなる、が教授の論である。

 米国の大学で学ぶ外国人学生の数は年々増え続け、博士号取得者は科学・エンジニア系だけ
でも05年に1万1500人を超えた。87年の倍だ。米国人の取得者数とあまり変わらない。そして
その6割以上が米国内で就職する。こうした残留率をさらに高くしよう、という論議がここ数年、盛ん
になってきた。

 特にマイクロソフトなどハイテク企業は、大卒以上の外国人に対する就労許可を年8万5000人まで
とした規制がネックだとして、大幅拡充を求めている。多様な優れた頭脳を集めないと、技術革新の
競争に勝てないというわけだ。実際、IT企業が集まるシリコンバレーは、人口の3分の1が外国出身である。

 日本でも、卒業後に日本で就職した外国人留学生が昨年、初めて1万人を超えた。米国にははるかに
及ばないが、5年で約3倍だ。安く便利に使ってやろう、ではいけない。彼らが持ち込む異文化や異なる
発想を新しい力に変える柔らかさが試される。

http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20080829k0000m070166000c.html