【論説】 「毎日変態報道事件で、メディアは欺瞞暴かれ、世論を怖がり始めた。そんな今、温暖化めぐる世論一致は可能か?」…石井孝明

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1☆ばぐた☆ ◆JSGFLSFOXQ @☆ばぐ太☆φ ★
・メディアが世論を怖がり始めた
 この1カ月ほど、活字メディア関係者が集まると、毎日新聞社の「変態」報道事件が話題となります。
 毎日新聞はネット上で「日本人は性的に倒錯している」という趣旨の英文記事を数年に渡り配信し
 続けました。この問題について同社は「英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします」と、
 謝罪と検証記事を発表しました。

 メディア関係者の注目点は、この事件の「構造」と「余波」です。ネットメディアがこの問題を指摘し
 ネット上で批判が広がったことによって、毎日新聞が謝罪に動きました。これまで、一般の人々が
 ここまでメディアを追い込む例は、あまりありませんでした。
 また、新聞・通信・出版という活字メディアは、広告の減少と絞り込み、さらには紙媒体の発行数の
 減少で、経営が厳しくなりつつあります。広告代理店の営業担当者は「クライアントがネットの怒りを
 気にしている。どの会社も不景気の中で広告予算を絞っているから、メディア各社の収益に影響が
 出てくるかもしれない」と、話していました。

 「今」を切り取るさまざまな材料を提供するのに、この事件を伝える既存メディアの報道はあまり
 ありません。なぜでしょうか。
 ある大手メディアの元幹部に聞いたところ、「君も分かるでしょう。怖くて誰も記事にできないんです」と
 予想した返事が返ってきました。下手にこの事件にさわったら、メディアの力の低下が知られ、
 スポンサーへの悪影響がでかねない─。こんな恐れが、報道を自粛させているようです。

 「既存のメディアの力が低下していることが明らかとなり、同時に世論におびえ始めた」。
 さまざまな論点を提供するこの事件で、私はこの点に一番興味を持ちました。しがらみのない
 子供たちが「王様はハダカだ!」と大人社会のおかしさを明らかにした寓話と同じように、どこにも
 おもねる必要がないネットユーザーがメディアの権威の低下、そして自らは「社会の公器」を
 唱えながら実際にはスポンサーの意向を気にする私企業にすぎないという欺瞞を、明らかに
 してしまったのかもしれません。(>>2-10につづく)
 http://wiredvision.jp/blog/ishii/200808/200808281000.html