独立行政法人・日本貿易保険は18日、国営大手のキューバ国立銀行から、「輸入代金の支払いが
出来なくなった」と通告を受けたことを明らかにした。
貿易保険は「非常事故」と認定し、債権を持つ日本企業に保険金の支払いを始めることを決めた。
原油と食糧価格の高騰で資金繰りが急速に悪化したとみられる。
日本貿易保険によると、キューバの国立銀と中央銀行の幹部が今月来日。
「国の資金繰りが短期的に悪化し、輸入代金が支払えなくなった。支払う意思はある」として
協議の申し入れがあったという。
国立銀は対日輸入代金の決済窓口で、日本企業約10社で計約200億円の債権があるという。
支払いは6月中旬から滞り、延滞分はすでに数十億円。残る債権も延滞になる公算が大きい。
18日には、中堅商社の明和産業が、医療機器などの代金約8億7千万円について「取り立て不能の
恐れが生じた」と発表した。
ただ、国債の償還が不能になるデフォルト状態に陥るのかは不透明だ。
キューバは80〜90年代にも対日輸入代金の支払いが延滞。
00年に総額約130億円を分割払いすることで日本側と合意し、貿易保険が保険の引き受けを
再開した経緯がある。
今回の事態を受け、貿易保険などが持つ残債60億円余の支払いも再び遅延する。
外務省によると、キューバ経済はここ数年、観光業などを先導役に順調だったが、輸入に頼る
原油や食糧の価格高騰で国の財政状態が急速に悪化。
7月末にはラウル・カストロ国家評議会議長が、国民に節制を呼びかけた。
〈デフォルト(債務不履行)〉
国債や社債の利払いが遅れたり、元本の償還が不能になったりすること。
アルゼンチンは01年12月、対外債務支払いの一時停止を宣言し、デフォルト状態に陥った。
日本では、総額約1900億円の円建て外債(サムライ債)を購入した個人や公益団体が、損失を被った。
朝日新聞 2008年8月18日20時9分
http://www.asahi.com/business/update/0818/TKY200808180312.html