日本に駐留する米兵の事件をめぐり、1953年に法務省刑事局が
「実質的に重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」
との通達を全国の地検など関係当局に送付、事実上、
裁判権を放棄するよう指示していたことが4日までに、同省などが作成した複数の内部資料で分かった。
法務省は地検に「慎重な配慮」を要請し、事件の処分を決める際は
批判を受ける恐れのある裁判権不行使ではなく、起訴猶予とするよう命じていたことも判明。
地検の問い合わせには日米地位協定の前身となる行政協定に基づき、
日本が第1次裁判権を行使できない「公務中の事件」の定義を広く解釈するよう回答していた。
日本側の裁判権放棄については日米両政府による53年の秘密合意が明らかになっているが、
合意を受けた具体的対応が分かったのは初。現在も米兵の交通事故など多くの事件が起訴されておらず、
通達の効力は維持されているとみられる。
内部資料は、法務省刑事局と警察庁刑事局が54年から72年にかけて作成した
「外国軍隊等に対する刑事裁判権関係」などの実務資料。
日米関係研究者の新原昭治氏や共同通信が入手した。
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008080401000100.html