★“旧竹下派ビル”取り壊し計画 消える「権力の館」 栄華は久しからず
自民党最大派閥として権勢をふるった旧竹下派(旧経世会)の有力幹部らが政治活動の
拠点にした「秀和永田町TBRビル」(東京都千代田区)に取り壊し計画が持ち上がり、
入居者の立ち退き交渉が進められている。同派の流れをくむ津島派のベテラン議員は
「竹下登、小渕恵三両元首相が事務所を構えていたときは『官邸よりも人が来る』と
いわれていた。権力の象徴といえる場所だっただけに寂しい」とつぶやく。
TBRビルは1965年、国会議事堂から200メートルほどの場所に建てられた。かつては
竹下、小渕両氏をはじめ、故梶山静六元官房長官、綿貫民輔・現国民新党代表ら旧竹下
派の実力者たちが個人事務所を構えた。当時は、このビルに事務所を持つことが「大物」
の証明だった。
近隣には、竹下氏と並ぶ経世会最高幹部の故金丸信元自民党副総裁が事務所を置いた
「パレロワイヤル永田町」と、小沢一郎・現民主党代表の事務所が入居していた「十全ビル」
があり、「権力のトライアングル(三角地帯)」の異名も。TBRビル一帯は経世会の「一致
結束」の象徴ともいえた。
だが栄華は久しからず。竹下派は92年に「反小沢」「親小沢」両グループに分裂。竹下派を
継いだ小渕派も98年の自民党総裁選では、小渕氏に対抗し、梶山氏が派閥を割って出馬。
ほかの幹部がこのビルの中を一本化に向けて奔走したが、調整はつかなかった。2004
年には日本歯科医師連盟の1億円ヤミ献金事件で、津島派事務所に東京地検の強制捜査
が入ったこともある。
同ビルには今も津島派の派閥事務所や、同派の青木幹雄前自民党参院議員会長、二階
派の海部俊樹元首相らの事務所があるが、往時に比べ官僚や陳情者らの出入りはめっきり
減ったという。
ビルを所有する不動産会社(横浜市)の広報担当者は「年内か、年度内に入居者の立ち退き
を終えたい。買った方の判断だが、老朽化しているので、経済効率を考えれば、いずれ取り
壊されるだろう」と話している。
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