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>>2のつづき)
「AVビデオの年間タイトル数は、セルビデオの攻勢、ネット撮りおろしの普及などにより、
92年には年間約4000タイトルだったのが、08年では少なくとも月1000タイトル以上。つまり、
この15年間でタイトル数は3〜5倍に増えているんです。そしてAV業界全体の売り上げは、
15年前2倍になっている。タイトル数が3〜5倍に増えているのに売り上げが2倍ということは
つまり、一本あたりの売り上げが減っているということ。各メーカーは、制作費の安い作品を
数多く出し、1本当たればペイできるという発想で、企画モノを濫造しているわけです。
そして供給過多のしわ寄せは、人気の単体AV女優のギャラには反映されず、底辺の企画もの
AV嬢(エキストラ女優)のギャラの低下に繋がっていくんですね」
敷居が低くなって可愛いコが入ってくるため、彼女たちが単体の人気AVを独占し、ついでに
入ってきたその他大勢の普通のコは、「大勢が出演する」企画モノばかりを次々とこなす
しかなくなる。
「大勢のコが出るということは当然、ギャラは格安。脱ぎあり、カラミなしのエキストラ女優で
最安値は2万円程度です」(安田氏)
それはもちろん、すべて女のコの取り分というわけではない。
必然的に、まともな収入を得ようと思うなら薄利多売で数をこなさなければならなくなる。
とはいえ裸になる女のコがいくらでもいる現状では、常に仕事が回ってくるわけでもない。
より条件の悪い仕事も受けざるを得ない。
少しでもギャラの高い仕事を、と思えば、より過激な撮影に応じるよりない。スカトロ、ハードSM、
アニマルファックなど、専門ジャンルに特化した企画モノなら、ギャラは通常の2〜3倍になる。
前出の事務所社長は言う。
「ですから、専業でAVをしているコは2割程度にすぎません。その他のコは風俗との掛け持ちや
一般OLをしながらの小遣い稼ぎ、フリーターなどです」
裸になればお金になるのは確かだが、それで生活費を稼げるかとなれば話は別。結局は、
都合よく使われるだけの日雇い労働者でしかないのだ。取材・文/ 紺谷宏之 水嶋レモン 椿 健二
(以上、抜粋)