受診待ちが出るほどの“うつ病”の急増。その背景には精神科に受診しやすくなったこともあるが、顕著なのはいまや
4割を占めるといわれる“新型”の出現。いったい従来のうつ病と比べて、どう違うのか。近年、臨床医を悩ませている
急増中の“新型”。特徴的なのは、仕事や日常生活がままならないことに対して従来型の『自分を責める』のではなく、
『他人や環境のせいにする』傾向が強いこと。「会社が悪い」「上司が悪い」「異動させられたのが悪い」などの言葉が
口癖のようにかいま見られる。
「ほとんどが20−30代前半の若い世代に発症して、逃避型や回避型などと呼ばれている」と話すのは、日本精神神
経学会理事で池上クリニック(川崎市)の池上秀明院長。さらに、気分の落ち込みが継続する従来型と違って、会社で
仕事をしていると重くなる。
本来、うつ病の原因には、真面目で責任感が強いなど本人の素質による“内因”と、職場環境や人間関係などの“外因
(環境因)”があり、双方がからみ合って発症している。
外因が強いようなケースでは環境を変えてやるだけでも“抑うつ状態”は比較的よくなる。一方、内因の方が強い場合
には薬は効くが重症化しやすい。ところが新型の場合、一見、会社に問題があるように思えるが、そこがフェイント。
「本当の原因は当人の心の構え方にあるので、たとえ会社の環境を変えてもあまりよくならない」など、原因の究明が
一層複雑になっているのが特徴だ。
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