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水産庁遠洋課では、「事実関係を確認しているところで、まだコメントを出す段階ではありません。
共同船舶が日本鯨類研究所から購入した鯨肉を乗組員に渡していたと聞いており、それなら何ら
問題はないと思っています」と話している。
これに対し、グリーンピースでは、持ち出した1箱は、土産ではなく、乗組員が横領したものだと主張
している。担当部長は、その理由として、「お土産や販売用なら、冷凍されてクール宅急便で送られます。
今回のは、そうではなく、常温の塩漬け状態になっています」と説明。「鯨肉は横流しで転売している
という証言も得ています」と話している。そして、グリーンピースでは5月15日、記者会見して、この鯨肉を
証拠品として示し、東京地検に業務上横領罪で告発した。
日本鯨類研究所などでは、グリーンピースの主張に反論。「段ボール箱に入っていた鯨肉は、土産で
渡したものであって、横領とは違います。また、横流しして売っていたという事実もありません。狭い船
ですから、何百キロも隠すようなことは物理的に無理だからです」と話している。
グリーンピースが乗組員の鯨肉を持ち出したことについては、「盗み出したとしか思えません。
『証拠品』と称して記者会見で高々と盗品を掲げるセンスは理解できない」と反発している。乗組員が
グリーンピースのメンバーを窃盗罪で告発するかどうかについては、「まだ聞いていませんが、やる
方向で検討していると思います」としている。
グリーンピースの証拠収集の手法は、専門家から見てどうなのか。
刑法に詳しい日大大学院法務研究科の板倉宏教授は、「鯨肉を持ち出したのは、窃盗に当たると
思います」と話す。グリーンピースが犯罪の証拠品になると主張していることについては、「証拠能力は
あります。ただ、証拠を得るために窃盗までするのは、正当性がなく認められるものではありません」
と指摘している。
記者会見で鯨肉持ち出しを認めたグリーンピースでは、「乗組員の業務上横領を示す物的な証拠を
確保するため、仕方がなく必要なことでした。ですから、私たちは、盗みだとは思っていませんし、
違法性はないと考えています」と主張している。(以上)