十四日午後十時二十分ごろ、日光市、会社員男性から「長女が硫化水素を吸って車を運転しているようだ」
と一一〇番があった。今市署員が駆けつけると、同市今市の国道119号で、対向車線をはみ出し停車した
軽乗用車近くに会社員で二十代の長女がぐったりしているのが見つかった。運転中、車内で硫化水素自殺を
図ったとみられる。携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)機能を利用して追跡した父親の機転で一命は
取り留めた。しかし現場は住宅密集地で、周辺から「身勝手だ」と怒りの声も上がった。
調べによると、同日午後八時ごろ、長女は自宅に遺書を残し車で家を出た。
長女が最近悩んでいると知った父親は、長女の車内にGPS機能付き携帯電話を置いておいた。遺書を発見
した父親はGPS機能を利用し、長女の車を捜索、同市内で停車しているところを発見した。長女の車は発進
して走行を続け、対向車線にはみ出し停車した。
父親は長女を保護。長女は救急車で病院に運ばれたが意識不明の重体。父親にけがはなかった。
長女の車の助手席には液体が入ったバケツが置かれ、数種類の空の薬剤ボトルが散乱。走行中に硫化
水素を発生させたとみられる。
発見後、国道119号約四百メートルが約二時間通行止めとなった。近くを通った高校生が体の不調を訴え病院
に運ばれたが、硫化水素中毒ではなかった。
自宅から窓越しに見ていた会社員男性(31)によると、酸素ボンベを背負いガスマスクをした人が車内を捜査し、
警察からは「硫化水素が発生した可能性がある。外に出ないように」と拡声器でアナウンスがあったという。
現場に近い自営業男性(59)は「これが暑い夏の夜で、窓を開けていたらと思うとぞっとする。周りのことを一切
考えず毒ガスで自殺しようなんて、憤りを感じる」と怒りをあらわにした。
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/php/s_news.php?f=k&d=20080516&n=0