【司法】袴田事件、弁護団が第二次再審請求を静岡地裁に申立 [04/25]

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21名無しさん@八周年
平成20年03月24日 最高裁判所第二小法廷 決定
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080325144844.pdf

「確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は次のとおりである。
 申立人は,静岡県清水市(当時)所在の有限会社甲味噌A商店(当時)の第1工場従業員寮
に住み込み,同工場でみそ製造工員として勤務していたものであるが,昭和41年6月30日
午前1時過ぎころ,同社の売上金を,もし家人に発見されたときは脅迫してでも奪おうと考えて,
くり小刀を携え,同工場と鉄道線路を隔てて所在する同社専務取締役B方住居に侵入して
金員を物色中,同人(当時42年)に発見されるや,金員強取の決意を固め,同人方の裏口
付近の土間において,所携のくり小刀(刃渡り約12cm)で,殺意をもって同人の胸部等を数回
突き刺し,さらに,同居宅内において物音に気付いて起きてきた同人の妻C(当時39年)の肩,
顎部等,Bの長男D(当時14年)の胸部,頚部等,Bの次女E(当時17年)の胸部,頚部等を
それぞれ数回前記くり小刀で突き刺し,Bが保管していた前記会社の売上現金20万4915円,
小切手5枚(額面合計6万3970円),領収証3枚を強取し,さらに,Bら4名を前記住居もろとも
焼燬してしまおうと考え,上記工場に置いてあった石油缶在中の混合油を持ち出して,これをBら
4名の各被傷体に振り掛け,マッチでこれらに点火して放火し,よって,Bらが現に住居に使用し
かつ現在する木造平家建住宅1棟(約332.78m )を焼燬し,Bを2右肺刺創等による失血,
Cを胸部刺創等による失血と全身火傷,Dを胸部刺創等による失血と全身火傷,Eを心臓刺創等
による失血と一酸化炭素急性中毒によりそれぞれ死亡せしめて殺害したものである。」
22名無しさん@八周年:2008/04/27(日) 18:27:58 ID:rnYCidY70
「確定判決及びその事実認定を是認した控訴審判決(以下両者を併せて「確定判決等」という。)は,
その判示に照らし,上記罪となるべき事実の認定のうち,申立人の犯人性について,申立人の
自白を除いた証拠のみによって優に認定することができるものとしていることが明らかである。
 すなわち,確定判決等が申立人の犯人性を認定する中心的な根拠としている客観的な証拠は
次のアないしウのとおりである。
ア 昭和42年8月31日,前記工場1号タンク内から製品であるみそを取り出していた作業員が,
同タンクの底に近いところから麻袋を発見した。この麻袋内には白ステテコ1枚,白半袖シャツ1枚,
ネズミ色スポーツシャツ1枚,鉄紺色ズボン1本及び緑色パンツ1枚の5点の衣類(以下,これらを
「5点の衣類」という。)が入っていた。5点の衣類には,下着に至るまで多量の,しかも被害者らの
各血液型と一致するA型,AB型,B型という複数の人血が付着していたほか,鉄紺色ズボンの
右足及び左足部分の各前面部,ネズミ色スポーツシャツ及び白半袖シャツの各右袖上部に損傷が
あり,白半袖シャツの損傷部分には内側からにじみ出て付着したと認められる人血(B型)が付着
していた。同タンクには,昭和41年7月20日に新しくみそ原料が仕込まれており,この仕込みの
後は同タンクの底部にこれらの衣類を隠すことはほとんど不可能であって,このことに,同工場は
被害者宅裏口から約31.8m,同タンクは工場入口から約21.7mの距離にあって,犯行現場に
近いこと,その他,犯人が本件犯行の前後に同工場に出入りしたことをうかがわせる情況証拠も
少なからず存することを総合すれば,同タンクから発見された5点の衣類は,犯人が被害者らに
対し前記各刺創等を負わせた犯行時にこれを着用していたもので,犯行後,新しくみそ原料が
仕込まれるまでの間に同タンク内に隠匿されたものと認められる。」(>>21
23名無しさん@八周年:2008/04/27(日) 18:31:21 ID:rnYCidY70
「イ そして,5点の衣類のうち,鉄紺色ズボンについては,申立人の実家から発見された端布が,
その共布であると認められることなどから,同ズボンは申立人のものであると断定することができる。
また,緑色パンツについても,甲味噌の従業員らが,本件以前に申立人が緑色パンツをはいている
のを見ており,同従業員の中で,申立人以外に緑色系統のパンツをはいている者を見たことがないと
述べていることなどから,申立人のものである疑いが極めて濃厚である。そして,他の衣類もそれらと
同じ麻袋の中に血に染まって一緒に入っていたこと,以上の衣類はその種類等からみて,同一人が
同時に着用していたものとみるのが自然であること等の状況に徴すれば,他の衣類も申立人のものと
認められる。
 なお,控訴審において,申立人をして鉄紺色ズボンを試着させたところ,同ズボンが申立人の
体格には小さすぎるためにはくことができなかったという事実がある。しかし,関係証拠によれば,
同ズボンには製造業者を明らかにする番号のほか「寸法4」「型B」などと記載された布片が縫いつけ
られていて,縫製時の腰回り寸法は約83cmであったが,寸法直しにより腰回りが約3cm詰められた
ものであり,そのサイズは,申立人が控訴審当時はくことができた別のズボンの腰回りに徴すれば,
申立人がはくことができるものであったことが明らかであって,申立人が鉄紺色ズボンをはくことが
できなかったのは,同ズボンが長期間みそタンク内でみそ漬けとされた後,乾燥したことにより収縮した
ためであると認められるから,申立人が同ズボンをはくことができなかったとの事実は,同ズボンが
申立人のものであったとの認定を左右するものではない。」(>>21
24名無しさん@八周年:2008/04/27(日) 18:34:06 ID:rnYCidY70
「ウ これに加えて,本件発生後,申立人の右上腕前部に傷あとがあり,これが犯行時に着用して
いたとみられる5点の衣類のうちの白半袖シャツの右袖上部の損傷の位置とおおむね一致し,
しかもその損傷部位に内側からにじみ出た状態で申立人の血液型と同型のB型の血こんが付着
していたこと,申立人の右下腿中央から下部前面に打撲擦過傷こんがあり,鉄紺色ズボンの右足
前面下部にもそれに相応するような損傷があること,本件の直後申立人の左手中指に鋭利な
刃物によると思われる切創があったこと,本件犯行による火災発生後に申立人が着用していた
パジャマにも申立人以外の,しかも被害者らの血液型と合致するA型及びAB型の人血の付着が
認められるほか,混合油の付着も認められること,申立人においてこれらについて合理的な
弁明をすることができないこと,申立人には犯行時のアリバイがないこと等の事情がある。」(>>21
25名無しさん@八周年:2008/04/27(日) 18:40:06 ID:rnYCidY70
「刑訴法435条6号の再審事由といえるためには,新たな証拠等により,確定判決において
詳しく認定判示されたところの一部について合理的な疑いを生じさせることでは足りず,その
ことにより更に進んで罪となるべき事実の存在そのものに合理的な疑いを生じさせるに至る
ものでなければならないというべきである(最高裁平成7年(し)第49号同10年10月27日
第三小法廷決定・刑集52巻7号363頁参照)。」(>>21

「この観点から所論の援用する新証拠をみると,5点の衣類が犯人の着衣であると認められるか
どうか及びこれらが申立人のものであると認められるかどうかという点に関するものについては,
これらを旧証拠と総合評価することにより,確定判決の認定に合理的な疑いが生じると認められる
ならば,「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たるということになろう。しかし,本件において,
この点に関する新旧全証拠を総合しても,申立人の犯人性を認定する旧証拠の証明力が
減殺されたり,情況証拠による犯人性の推認が妨げられるものとは認められない。」(>>21

「各証拠の発見,押収等の過程は,格別不自然なものではなく,そこに作為を介在させる余地も
乏しいのであり,その他,記録を精査しても,証拠ねつ造等をうかがわせる事情は見当たらない。
所論は,合理的な根拠があるものとは認められず,採用することはできない。」(>>21
26名無しさん@八周年:2008/04/27(日) 18:43:16 ID:rnYCidY70
「確定判決は,前記のように自白を罪となるべき事実を認定する証拠とはしておらず,自白を
除いた証拠のみによって申立人の犯人性が認定できるとしているのであるから,所論は,
そもそも再審事由の主張として失当である。さらに,この点に関し,申立人の自白に係る態様で
被害者方裏口から脱出することは不可能である旨の所論について付言すると,被害者方裏口の
扉は,内側から開けて通行することが極めて容易な構造であった上,現に犯人が脱出した直後の
裏口扉は開いていたと認められることなどに照らし,これが通行不可能ないし困難な状況にあった
という所論は,前提を誤っており,採用することはできない。」(>>21

「申立人が本件住居侵入,強盗殺人,現住建造物等放火事件の犯人であるとした確定判決の
事実認定に合理的な疑いが生じる余地はなく,本件につき刑訴法435条6号所定の再審理由は
認められないとした原決定は相当である。」(>>21