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名無しさん@八周年:
日本経済新聞 2008年4月18日 朝刊 第三面
イラク空自活動に違憲判断
名古屋高裁判決 法的拘束力なし
判断、主文で示さず
国側反論できず
法曹界に異論も
名古屋高裁は判決理由の中で、イラクでの自衛隊活動の一部を違憲とする判断を示した。
裁判上の“勝敗”を決める主文ではなく、判決理由で踏み込んだ判断を示すことについては
法曹界にも異論がある。
同じように判決理由で違憲判断をしたケースとしては、小泉純一郎元首相の靖国神社参拝
を巡る訴訟の大阪高裁判決(2005年)と福岡地裁判決(04年)がある。両判決は、原告の
損害賠償請求を棄却しながら、参拝を違憲と判断。原告が上訴せず確定した。
1985年中曽根康弘元首相の靖国参拝を巡る訴訟でも、「違憲」や「違憲の疑い」とする三件
の高裁判決が確定している。
判決が確定しても首相の靖国参拝が差し止められたわけではない。だが、小泉元首相は
大阪高裁の違憲判断後の参拝では、本殿への昇殿はしないなど従来の形式を変更。
司法判断が影響を及ぼしたとみられる。
判決書の形式について民事訴訟法は、判決理由を「記載しなければならない」としているだけで、
細かな規定はない。しかし、丁寧に理由を記載することを心がけるべきだと考える裁判官は多い。
ただ、判決理由で結論とは異なるような判断を示すことに異論も強い。ある裁判官は「結論の
判断にかかわらない部分は判決理由に書かないのが慣例」と指摘したうえで、「原告が裁判に
納得できるよう憲法判断を示したのだろうが、勝訴側が反論できず、問題がある」と疑問を呈する。
今回の判決の青山邦夫裁判長は3月31日付で退官。判決を法廷で代わりに読み上げたのは
別の裁判官だった。