日本社会に広がる「ワーキングプア」や「格差」も、その先行例は米国にあるらしい。極端な民営化の弊害などで、
富める者はますます富み、貧しい者はさらなる貧困に転がり落ちる米国の過酷な現状を、豊富なデータや人々の肉声
などを通してリポートしている。著者は最近、川田龍平参院議員の伴侶(はんりょ)となった新進気鋭のジャーナリストだ。
読者からは、サブプライムローンによって米国内の貧困層の生活がどう破壊されたのか実態がよく分かった、との
感想が多かったという。実態を知りたいという読者が多いのは、日本人にとって“対岸の火事”ではないからだろう。
例えば、1回の虫垂炎手術で破産してしまうほど高額な医療費は、読んでいて「日本に生まれてよかった」と思わざる
を得ない過酷さだ。しかし同時に、日本の医療制度が同じ方向へ向かわないか、一抹の不安を感じなくもない。また、
安価で高カロリーの加工食品で肥満化する貧困層の児童たち、教育格差ではい上がることができない若者たちの
悲しみは、二極化が進む日本への警鐘と受け取れる。
大統領選やドル安など、私たちは連日、米国の政治経済ニュースに接しているが、そのニュースの先にある「暮らし」
にも思いをめぐらせたい。
ソース(フジサンケイ ビジネスアイ)
http://www.rsssuite.jp/sankei/item_34784_860960_3687.html