文部科学省は、約3年の改定作業を経てまとめた小中学校の新学習指導要領を28日付
官報で告示する。
先月15日公表の改定案と比べ、「我が国と郷土を愛し」といった記述が追加されたほか、
「君が代」についても「歌えるよう指導する」と明記されるなど、「愛国心」の養成をうたった
改正教育基本法を色濃く反映する形となった。
これらの修正点は、文科相の諮問機関「中央教育審議会」の審議を経ないまま
盛り込まれており、なぜ新たな文言が突然加わったのか議論を呼ぶのは必至だ。
新しい指導要領は小学校では2011年度、中学では12年度から実施される。
今回の修正の中で目立ったのは、一昨年12月に改正された教育基本法に「我が国と郷土を
愛する態度を養う」との表現で愛国心の養成が盛り込まれたことを受け、小中学校ともに
全体の指針となる総則に「我が国と郷土を愛し」という文言が加わった点。同じ総則の
「伝統と文化を継承し」という記述も「尊重し」に変更され、小学国語に「神話・伝承を読み
聞かせる」ことが追加されるなど伝統文化の尊重も強調された。
君が代も小学音楽で「いずれの学年においても指導する」から「歌えるよう指導する」と
修正され、中学社会では自衛隊の国際貢献に言及している。
先月公表の改定案には、自民党の一部議員から、竹島や尖閣諸島について「我が国固有の
領土」と明記されていないとの批判が集まっており、「愛国心を強調することで、そうした
批判に配慮した」(自民党中堅)という指摘もある。
文科省は「修正は中教審の答申の枠の中で行っており、批判を受けるとは考えていない」と
している。
YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080327-OYT1T00837.htm