A日弁連の児童ポルノ法への意見書
ttp://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2003_09.html 4 目にあまる児童ポルノコミックは、刑法のわいせつ物陳列、頒布、販売罪の構成要件該当性が検討されるべきであり、本法の対象とすべきではない。
児童ポルノコミックの現状には、放置できないものがあるとの指摘はもっともである。
しかし本法の保護法益は、実在の子どもの権利である。
児童ポルノコミック規制を本法により行うことは、本法の保護法益を、刑法のわいせつ物陳列、頒布、販売罪の保護法益である「善良なる性風俗」に対象範囲を広げることになる。
これは本法の目的をかえって曖昧にし、子どもの権利保護の実施を後退させる危険をはらむ。
また児童ポルノコミック規制により、児童の性的搾取、性的虐待が減少するという証明はない。
ポルノコミックにおいては、被害を受けた実在の子どもがいない。
芸術性の高いコミックやイラスト、小説と、規制すべきとするポルノコミックとの線引きには困難な場合も想定され、いたずらに表現の自由を侵害する危険がある。
目にあまるものについては、刑法のわいせつ物陳列、頒布、販売罪の構成要件に該当するか否かの検討をする余地はあるとしても、本法の対象とすべきではない。
実在の子どもがモデルとなっていると推定されるようなコミックが存在するとするなら、名誉毀損罪等、他の犯罪として処断されるべきである。
「子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」にも、コミック規制を義務づける条項はない。
5 児童ポルノの単純所持は処罰の対象とすべきでない。
児童ポルノの定義が曖昧であり、単純所持にまで処罰を拡大することにより、処罰範囲が捜査機関の主観により拡大する危険がある。
児童ポルノの流通の抑制は、営利目的による製造、販売の厳格な摘発、処罰と、教育啓発活動によるべきである。
上記選択議定書にも、単純所持処罰を義務づける条項はない。