(略)中国では「デザインは新資源である」という言い方で,デザイン教育に力を入れ出しまし
た。(略)中国の多くの大学が,デザイン課程の設置を進めており,今も増え続けているとの
ことで,デザイナーの養成機関はなんと1000を越すそうです。入学希望者も多く,競争率も
80倍から100倍とのこと。
(略)
韓国では1年で約4.5万人のデザイナーの卵が生まれ(日本は約2万人),また,国際的なビ
ジネス展開を視野に入れた英語によるデザイン教育が行われています。サムスン電子は経
営者によるデザイン至上主義政策と,デザイナーを470人も大量雇用(日本最大の松下電器
産業は450人)してブランドイメージがソニーに追いつきそうな勢いで伸びています。
台湾にいたっては「もうモノ作りでは食べていけない」ということで,今後は三つの分野に特
化することで世界市場で生き残って行く戦略が立てられたそうです。第1にデザイン,第2に
マネージメント,第3には金融であるとのこと。
(略)
イギリスでは「クリエイティブ産業」を基幹産業の一つとして戦略的に強化しているのが話題
になりました。11のセクターで構成されており,デザイン,広告,ソフト・ゲーム,音楽,映画
などの現代的なものと,芸術,アンティーク,伝統工芸など,伝統的なものとを区別せずに,
同じコンテンツとして考えており,その育成に政府が国のプロジェクトとして,お金と人材を
つぎ込んでいます。
(略)
振り返って,我々の日本国はどうでしょう。経済産業省の「戦略的デザイン活用研究会」の
レポートから抜粋しますと,「90年代半ば,国がデザイン振興の『旗振りを止めた』ことから,
地方のデザインセンターが相次いで閉鎖し,地方のデザイン事業も下火になり,デザイン団
体では,若年世代のデザイナーの入会が減少している」とされています。
一部の大企業以外はあまり戦略的にデザインが活用されてなく,無難なデザインが多く,
類似したデザインも少なくない。これは売れた他社の製品に似せれば失敗のリスクは少な
くなるだろうという,経営者のことなかれ主義からそうなるのでしょう。経営者のデザインに
対する意識がまだまだ低いのではないかと思わざるを得ません。(以下略
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20080312/296004/ )