日中の対立が心配だ
中国製ギョーザ中毒事件で中国公安省が中国国内での有機リン系殺虫剤「メタミドホス」混入の可能性は
極めて低いと発表した。さらに流通現場への立ち入りなどの要請に応じなかったとして、日本の警察当局の
対応を批判した。明言は避けているが、日本国内で混入されたとの見方を強く示唆している。
中毒事件は、日中両国の捜査協力が進展するかが真相解明の鍵だった。中国側の発表は、事件の原因が
日本側にあると言っているようなものだ。警察庁幹部が訪中し、解決に向けた連携強化を合意したばかりである。
それだけに、中国側の強硬姿勢ともいえる対応は日本側にとっても理解し難いといえよう。早期解決への取り
組みは難航しそうだ。残念と言わざるを得ない。
中毒を起こしたギョーザは中国河北省の天洋食品が製造元である。日本側は密閉されたギョーザの袋の内部
からメタミドホスが検出されたことなどを根拠に、日本国内で混入した可能性は低いと主張してきた。これに対し、
中国側は独自の実験で「封印されたままでも袋内への混入があり得る結果を得た」と反論。双方の見解は真っ
向から対立している。
中毒事件を受け、中国製輸入食品の買い控えが広がるばかりだ。また中国の検疫当局が検査を強化している
ため、日本向けの冷凍・加工食品の一部がストップするなど国内販売にも支障が出始めている。
消費者の不安を解消するためには、やはり捜査協力による徹底解明が不可欠だ。解明が進まなければ、輸出側
の中国に痛手であり、日本の冷凍産業にも深刻な影響を及ぼすことになる。
冷え込んだ日中関係は四月予定の胡錦濤国家主席来日をきっかけに改善が期待されている。中毒事件がその
流れに水を差しかねない。八月の北京五輪も控え、事態は思わぬ方向に発展しかねない危うい要素を秘めている。
真相究明のためには、日中の冷静な対応が必要だ。
ソース
沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080229.html#no_1