★地域福祉計画 策定に遅れ
誰もが安心して暮らせる地域づくりを目的とした「地域福祉計画」の策定が遅れている。国が
社会福祉法の改正で都道府県や市町村に同計画策定を促したのは2000年。だが08年
2月現在、策定済み(本年度中に策定予定も含む)は15市町村にとどまっている(策定率36・6%)。
県も未策定。同計画は高齢者、障害者、児童福祉、防災計画など行政が縦割りで担う施策を
横断的に網羅するもので、いわば福祉の「総合計画」。専門家は「個別施策の実効性を担保する
計画であり必須」とし、策定が進まない状況を憂慮している。(黒島美奈子)
厚生労働省によると06年9月末現在、策定済みは33都道府県、442市区町村。策定は義務ではないが
同省地域福祉課は「縦割り行政の弊害をカバーするもの」と位置付け、08年3月にも再度策定状況を
調査する予定だ。
県内で策定済みは那覇市、宜野湾市、浦添市、名護市、沖縄市、うるま市、読谷村、北中城村、
金武町、伊江村、久米島町、恩納村の12市町村。豊見城市、与那国町、本部町が今年3月までに
策定する。
今後、策定を予定しているのは与那原町と宮古島市だけで、ほか市町村は未定。一方、県福祉
援護課は「市部の計画が出そろった段階で県計画の策定を予定している」と説明する。
策定できない市町村の多くが人手や予算不足を理由に挙げる。八重瀬町は「現在障害者計画の
見直し中で、来年度には高齢者福祉計画など個別計画の策定に追われている」と説明。東村では
本年度に素案作成を外注する予定だったが予算がつかず、「来年度の予算計上も未定」という。
沖縄大学の上地武昭准教授(地域福祉)は「地域福祉計画のないことが、必要な人にサービスが
届かない状況をつくっている」と話す。
介護保険や生活保護など多くの行政サービスは、個人の申請に基づき提供される。上地准教授は
「申請方法を知らない人は必要でも受けることができない」と問題点を指摘。「個人のニーズを
窓口につなげるには専門的な知識が必要」とし、地域福祉計画の中で中学校区など地域ごとの
ソーシャルワーカー(社会福祉士)の配置を提案した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_06.html