★「へたり牛」回収 米農務省、監視に甘さ 消費者軽視、強まる批判
【ポートランド19日枝川敏実】米国カリフォルニア州の食肉処理会社
「ウエストランド食肉・ホールマーク食肉加工」が、食用が禁じられている
「へたり牛」を出荷し、過去最大の牛肉回収を招いた問題で、米国内では、同社ばかりか、
業界を監督する米農務省の消費者軽視ともいえる姿勢に批判が高まっている。
へたり牛は歩行困難な症状を示し、牛海綿状脳症(BSE)感染が疑われている。
農務省は食肉会社に対し、へたり牛の廃棄を義務づけているが、同社はそれを
無視していた疑いが持たれ、過去二年間に出荷した牛肉約6万5000トンの回収を命じられた。
動物保護団体が同社工場に作業員として潜入、ビデオ撮影して問題が発覚した。
米食肉検査法は食肉会社に対し、同省の食肉検査員が工場内で牛や肉のチェックを
行うよう定めている。今回、問題を起こした同社にも、検査員はいたが、CNNテレビは
「農務省は食肉会社への監視を厳格に行ってこなかった。BSEの心配はないと言うが、
信じられない」と、同省を痛烈に批判した。
シカゴトリビューン紙などによると、検査員はどの工場でも慢性的に不足。
検査員自身が牛を調べるのはまれで、現場からの報告書をチェックするだけで済ますケースが多い。
農務省は現在の検査員数について、1992年と比べて250人増の7450人とするが、
「実態は退職者の補充がされず、千人分が空席になっている」(内部関係者)。
全米規模の消費者団体「消費者同盟」のハロラン理事は
「すでに牛肉の多くは消費されてしまい、農務省の回収命令は遅すぎる」と指摘。
オレゴン州では、問題の牛肉が学校給食に使われ、大きな騒ぎになっている。
今回、不正を告発した動物保護団体のウェイン・パレス代表は
「農務省は農業関連業界の保護を重視し、消費者の方を向いていない」と非難している。
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/77030.html ▽関連リンク
・The Humane Society of the United States
http://www.hsus.org/ ●告発ビデオ
https://community.hsus.org/campaign/CA_2008_investigation?qp_source=gaba89