<近畿、雇用にかげり――求人2年ぶり1倍割れ、「原油高で中小苦しく」>
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002303.html 近畿の雇用情勢にかげりが見えてきた。近畿2府4県の昨年12月の完全失業
率は1年4カ月ぶりに前年同月を上回り、有効求人倍率も悪化、2年ぶりに1倍
を下回った。原油高騰の影響を受けた製造業などを中心に求人を手控える動
きが出ており、世界的な景気の不透明感が近畿の雇用にも影を落としている。
総務省が29日発表した近畿2府4県の昨年12月の完全失業率(原数値)は
4.2%と前年同月比0.1ポイント上昇。有効求人倍率(季節調整値)は0.99倍。
滋賀、大阪を除く4府県で1倍を下回った。
大阪府の有効求人倍率(前月比)は0.08ポイント低い1.08倍で4カ月連続の低
下。新規求人数(原数値)は前年同月比で29.4%減った。業種別では改正
建築基準法の影響で住宅着工戸数が減った建設業(同24.9%減)や製造
業(同21.8%減)の減少傾向が顕著だ。
大阪労働局によると、派遣請負の求人受理の適正化を昨年10月から実施し
たため、サービス業(49.9%減)や情報通信業(33.8%減)の新規求人の減
少も目立った。関西が地盤のスーパーは「同業他社の動向をにらむと、今年も
初任給を引き上げざるを得ない。ただ収益の大幅改善が見込める環境では
ないので、正社員が1人で何役もこなして生産性を上げる一方、パートの採用
は抑制している」という。
原油高で収益を圧迫されたため、雇用を手控える動きはじわりと広がっている。
(略)
ねじ商社、ツルガ(大阪府東大阪市)の敦賀伸吾社長は「業績を伸ばす大企
業と苦しい中小企業との二極化が進んでおり、数値以上に中小企業の実態
は厳しい印象を受ける。原油高などで経営が苦しくなった中小企業から、失業
者が新たに生まれているという話も増えた」と明かす。(以下略)