米リンデン・ラボ社が運営する仮想3次元空間「セカンドライフ(Second Life)」で、仮想銀行と仮想
ATMの営業がストップされた。これらの銀行やATMは、「セカンドライフ」内で流通する仮想通貨
「リンデンドル」を扱っている。しかし、仮想通貨でも現実の通貨・米ドルと換金可能なため、仮想
通貨を失えば、現実の通貨を失うに等しい事態として受け止められ、大きな問題になっているのだ。
リンデン・ラボ社は2008年1月22日、「セカンドライフ」内の「リンデンドル」を扱うATMなどの銀行
業務を全面中止する措置を取った。
この前の2008年1月8日、同社公式ブログは、仮想銀行が「リンデンドル」について年率20〜40%の
高金利を約束しながら、その契約が履行されていないという非難が同社に寄せられたことを受けての
措置だ、と説明している。これにより、金融機関として「現実世界」に存在する政府の証明がない企業
などが運営する仮想銀行は、業務が禁止されることになった。
1月8日のこの発表以降、銀行に「リンデンドル」を「預金」していたユーザーのアバター(ネット上の
分身)が銀行に押しかける事態にまで発展。ATMが作動しなくなったために実際に多額の「リンデン
ドル」を失ってしまったしまったユーザーが多数いた模様だ。米紙「ロサンゼルスタイムズ」1月22日
付けの記事では、現実通貨で400ドル相当のリンデンドルを失った女性アバターが紹介され、1月23日
の「ウォールストリートジャーナル」では5ドルをATMから引き出せなかった男性が紹介されている。
「セカンドライフ」でこうした措置が取られたのには、大きな背景がある。
2007年8月には「セカンドライフ」最大の仮想銀行「Ginko Financial」が事実上倒産した。同行は年率
40%前後の高金利を謳っていたにもかかわらず、債務が推定約75万ドル相当の約2億リンデンドルに
まで膨らみ、預金の払い戻しができなくなった。もちろん、仮想空間に法律も裁判所もないため、預金
者の仮想通貨は事実上、ゼロになった。
(続きは
>>2-10)
http://www.j-cast.com/2008/01/29016023.html