厚生労働省が28日公表した06年度労働者派遣事業報告で、派遣労働者として働いた人が
過去最多の約321万人(前年度比26%増)に上ったことが分かった。また、派遣料金が
上がっても労働者の賃金は下がる傾向にある。日雇い派遣労働者などの不安定な
雇用のあり方が社会問題化する中、企業が人件費圧縮などのため派遣労働者を
積極的に使う現状が浮き彫りになった。
報告は労働者派遣を行った事業所の報告書をもとに集計した。派遣労働者は統計を
取り始めた86年度以降増え続け、99年度には100万人を超えた。02年度には200万を超え、
04年度にいったん減少したが、05年度から増加に転じ、06年度に初めて300万人を超えた。
派遣を行う事業所数は事務や軽作業などの「一般派遣」が1万8028所(前年度比22.7%増)、
通訳など専門職の「特定派遣」が2万3938所(同43.6%増)だった。
派遣を受ける派遣先も約86万件(30.4%増)と広がった。
労働者は、1年に近い長期の契約を継続している常用雇用労働者が64万5767人(同41.7%増)、
日雇い派遣など期間が短い登録者が234万3967人(同21.2%増)、
特定派遣の労働者が22万734人(同40.7%増)となり、いずれも大幅に増えた。
派遣会社の年間売り上げは5兆4189億円(同34.3%増)となった。一方、
一般派遣の料金は平均で前年度比2.1%増の1日1万5577円なのに対し、
賃金は0.5%と微増の1万571円にとどまった。日雇い派遣が多い建築物清掃の仕事では、
料金は2.6%増の1万1303円に対し、賃金は8.7%減の6995円に下がっている。
労働者派遣法を巡っては不安定で低賃金の日雇い派遣労働の規制が検討されている。
派遣労働者を組織する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は
「特に日雇い派遣の多い分野で、派遣料金が上がり賃金が下がっている。
会社が取るマージンの規制が必要だ」と話している。【東海林智】
最終更新:12月28日20時18分 12月28日19時27分配信 毎日新聞
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