・高校生諸君。沖縄の人たちに感謝しよう。
もし、あの人たちがあれだけの怒りを表明してくれなかったら、君たちは沖縄戦の
集団自決が「軍の関与」なしで起きたかのように書かれた日本史の教科書を
読まされるところだったのだ
▼教科書会社が最初、申請した時には「軍の強制」性の記述があったのだが、
文科省の検定意見が出されて「強制」どころか「関与」まで削られてしまっていた。
これでは住民は勝手に死んだ、と言われているようなもの。「関与」の復活で
最低限の誤りは正された
▼問題は「軍の強制」である。当時、生きて敵軍に捕まるのは恥ずかしいこと、という
教えが根強かった。そして軍が住民に手榴弾(しゅりゅうだん)を配布していた
事実もある。何より多くの住民が証言もしている。だが、命令文書など証拠がないと
文科省は結局、「強制」を認めなかった
▼高校生諸君。でもこれは教科書にひと泡吹かすチャンスかもしれない。軍の強制性が
あったかどうか、日本史の時間などに自分たちで勉強してみてはどうか。当時の軍と
民間人の関係は。そも沖縄戦とは何だったのか。現地の声を集めてみる手もあるだろう
▼今回の教科書検定の騒ぎ自体を勉強の対象にしてみることも勧めたい。なぜ突如、
「強制」性を認めない意見が文科省サイドから出てきたのか。できる範囲で調べ、
話し合ってみたらいい。格好のいい結論は出ても出なくても構わない
▼先生も理解してくれるはずだ。歴史家のE・H・ノーマンもこんなことを言っている。
学習は「問題を解く過程にこそ本質がある」。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007122802075664.html