国内で約10年前にBSE(牛海綿状脳症)を引き起こした感染源は、
子牛の飼育に使った代用乳に含まれるオランダ産油脂の可能性が高いことが、
東京大の吉川泰弘教授らの調査でわかった。
農水省のプリオン病小委員会で14日、報告した。同省では2003年に、
英国牛やイタリア産の肉骨粉を感染源とする可能性が高いとの調査結果を
公表していたが、この見解を覆す結果となった。
研究チームは、国内で感染を確認した牛33頭のうち32頭で、使った飼料
などの詳しい調査を実施した。感染牛のうち13頭は、生まれたのが1995年
12月~96年8月に集中。その後の感染は、99年以降で、集中発生していない
ことに着目した。この13頭すべてが、BSEを引き起こす異常プリオンたんぱく質
が混入した可能性のある代用乳を飲んでおり、肉骨粉を食べた可能性はほとんど
ないことなどから、「代用乳が感染源となった可能性が高い」と結論づけた。
99年以降の感染については、国内の感染牛が見過ごされ、鶏や豚用の飼料として
肉骨粉に加工されて、牛の飼料や代用乳に混入した可能性があるという。
異常プリオンたんぱく質は一般的に、代用乳にはごく微量しか含まれておらず、
これだけの感染を引き起こすには、少なくとも感染牛が50~80頭必要と指摘。
オランダ国内には当時、それほど多数の感染牛はいなかったとの調査もあり、
不可解な点が残るという。国内ではすでに規制が行われており、代用乳による
新たな感染の恐れはない。
■ソース(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071214i304.htm