>>1の続き
米国は輸入規制全般に対していつも強気だが、牛肉の月齢制限については
国際獣疫事務局(OIE)のお墨付きがあるだけに、余計に強気になる。
OIEは今年5月、米国をBSEの管理されたリスク国に認定した。
これは特定部位さえ除去すれば、月齢制限をせずに牛肉を輸出できる準安全国と
認めたことになる。これを受けて米国政府は早速、輸入条件緩和を話し合う
実務者協議を日本側に求めてきた。
日本は米国産牛肉の輸入を再開する際、2つの条件を付けた。生後20カ月齢以下の
牛に限ることと、BSEの感染源とみられる異常プリオンが蓄積しやすい特定部位を
完全除去することだ。月齢を制限したのは、21カ月齢と23カ月齢の若い牛での
感染が、わが国で確認されているからだ。米国は今回、「(日本側は)科学を根拠とした
主張ではない」と不快感を示しているが、これは米国内の食肉業者の圧力だけでなく、
日本の厚生労働省の研究班の報告が根拠にあるためである。
研究班は21カ月齢と23カ月齢の牛から取り出していた病原体を、マウスに接種する
伝達性試験を続けている。中間報告では「感染は現在まで認められない」としており、
これが米国側を強気にさせている。しかし、この報告について食品安全委員会は
「これまでのプリオン評価にかかる考え方に変更を及ぼすものではない」と明言している。
つまり、月齢制限を続ける「科学的な知見」に変更はないということだ。
米国は、あくまで月齢制限撤廃を求めてくるだろう。30カ月齢未満への緩和で、
日米政府が合意できるか不透明。しかし、日本政府の今回の方針変更は、明らかに
「科学的な知見」に基づいていない。食品の安全性を脅かす方針変更に強く反対する。
以上