・札幌市が100%出資する財団法人「札幌市下水道資源公社」(理事長・加藤啓世副市長)が
職員を採用する際、受験者の借金や前科・前歴などを調べる「素行調査」を行っていたことが
分かった。4日の定例市議会本会議で松浦忠市議(市政改革クラブ)が指摘し、加藤副市長は
「選考の一助として素行調査を行った」と認めたうえで「不適切だった。たいへん遺憾で、不明を
おわびする」と陳謝した。
同市や公社の説明によると、素行調査は市内の民間調査会社に委託し(1)学歴・職歴(2)
消費者金融などの借り入れ状況(3)前科・前歴−−を調べるもので、職員の公募採用を始めた
92年度から続けてきた。採用は毎年ではないため、これまでに調査した受験者は記録が残って
いるだけで7人。うち6人を採用した。
今年度は6、7月の筆記・面接試験を通過した男性受験者2人を対象とし、調査会社に委託費
26万4000円を支払った。2人のうち1人を10月1日付で採用。昨年度も1人を採用する際に
10万5000円で調査を委託した。公社側は「調査結果は最終的に採用を決める判断材料には
していない」としている。
職業安定法は求職者の個人情報を本人の同意なしに不適切な手段で集めることを禁じており、
上田文雄市長は4日の市議会で「職業安定法に違反する行為」と認めた。素行調査は公社の
常務理事(元市下水道局施設部長)の決済で行われており、加藤副市長は9月になって知ったと
いう。
同公社は下水道事業の普及・啓発や下水道汚泥の再資源化研究などを目的に83年4月設立。
札幌市は公社の基本財産2000万円を拠出しているほか、今年度予算では事業委託費
11億9300万円を計上している。職員は市からの出向者を中心に50人で、うち公社採用の
職員は20人。【内藤陽】
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20071005hog00m040008000c.html