◇光市母子殺害犯「元少年26歳」の父と比(フィリピン)人継母が独占初告白
死刑か無期か──
差し戻し控訴審が進行する中、沈黙を守っていた被告の両親が語った「犯行」「幼少時代」「暴力」「母との性」「判決」
過去8年の供述を、死刑判決直前になって180度翻した被告。その言葉はやはり真実ではなかった。
弁護団が組み立てたストーリーを覆す決定的証言を入手した。 ジャーナリスト 木野活明
▼「息子はごく普通の子供だった」
「毎日生きていくことが苦しい。私らの気持ちを分かってくれる人は誰もいない。でも、息子があれだけの事件を
起こしてしまったのは確かなことなので、私が(今の生活について)とやかくいうことはできない。でも、本当に苦しい」
自宅の玄関先で、“元少年”(26歳)の父親は私にこう語った。日に焼けてがっしりした体格の父親は、ごく普通の50代半ばの男性だ。
「裁判のことは話せない」と言いながらも、50分近くもの間、終始落ち着いた物腰で私に心情を語ったのである。
99年に山口県光市で起きた母子殺害事件。少年事件としては異例の8年に及ぶ裁判が今もなお続いている。
この裁判の行方に社会の多大な関心が集まっているのには、
@犯行当時18歳の少年だった被告に死刑が適用できるのか
A死刑判決の可能性が高まった差し戻し控訴審において被告側がこれまでの証言を一変させた、
という二つの理由があげられる。まずは、事件の裁判の経過をみてみよう。
99年4月、会社員・本村洋(31歳)の自宅アパートで妻の弥生さん(当時23歳)と長女の夕夏ちゃん(同・11ヶ月)の遺体が発見された。
二人は絞殺されており、弥生さんには強姦の跡もあった。4日後に当時18歳の少年が逮捕された。
家族を失った本村さんが、少年の死刑を強く求めたことから、山口地裁で行われた第一審は大きな注目を浴びた。
裁判で少年は検察側の起訴事実をすべて認めた。
しかし、下された判決は無期懲役。02年の広島高裁第二審でも一審の判決は支持された。
>>2以降に続きます。
ソース:週刊現代 10月13日号 36〜39ページ(エマニエル坊やがテキスト化)