ミカンに多く含まれる成分の「β(ベータ)−クリプトキサンチン」が
閉経後の女性に多くみられる骨粗しょう症の原因となる骨密度の低下を予防する効果のあることが、
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所(静岡市)、浜松市、
国立長寿医療センター研究所(愛知県大府市)などの栄養疫学調査で分かった。
研究結果は米国で今月11日付発行の骨粗しょう症専門誌「Osteoporosis International」の
オンラインジャーナル版で紹介された。
ミカンなど柑橘(かんきつ)類に多く含まれるカロテノイドの一つであるβ−クリプトキサンチンは、
これまでの調査で動脈硬化や肝機能障害などの予防に役立つことが分かっている。
同研究所などは2005年度、ミカンを食べる機会の多い浜松市北区三ケ日町で、
健康状態や生活習慣、食習慣をチェックする総合検診を受診した住民のうち699人に
ついて骨密度を検査した。
この結果、閉経女性でミカンを食べてβ−クリプトキサンチンのレベルが高いグループほど
骨密度が2倍近くにまで高くなっていた。
果物の摂取量からみても、果物を多く摂取するグループ(1日当たり平均271グラム・ミカン約3個分)は
少ないグループ(平均66グラム)に比べて骨密度が2倍近く高くなっていた。
同研究所は今後も追跡調査を続け、β−クリプトキサンチンと骨密度の因果関係を明らかにしていく。
調査に当たった果樹研究所研究チームの杉浦実さん(42)は
「これまで血清中のカロテノイド濃度と骨密度の関係に関して疫学的な裏付けがなかっただけに、
今回の調査結果は大きな収穫。骨粗しょう症を防ぐにはβ−クリプトキサンチンを豊富に含む
ミカンを食べるのがいいようだ」と話している。
ソース
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20070929/CK2007092902052537.html