防衛省は21日、自衛隊の規律強化や、不祥事の再発防止に向け、自衛官の刑事事件を捜査する
陸海空各自衛隊の警務隊を統合し、防衛相直轄にする方針を固めた。
海上自衛隊のイージス艦情報流出事件や防衛施設庁の談合事件、自衛官らによる刑事事件などの不祥事が
相次いでおり、防衛省は、警務隊の体制強化で法令順守の徹底を図ることにしている。また、同省は、
9月に新設する防衛監察本部のトップとなる初代防衛監察監(準次官級)について、
桜井正史・前名古屋高検検事長(62)を起用することを内定した。
警務隊の再編は、2009年3月までに実施する見通しだ。警務隊は、陸自が800人、海自が140人、
空自が150人の体制で、縦割りのため、十分に連携できず、捜査能力の限界が指摘されていた。
防衛省は、3自衛隊の警務隊の統合で、捜査に関する情報やノウハウを共有したり、大規模な事件に
人員を集中的に投入したりすることが可能となり、警務隊がより踏み込んだ捜査ができるようになる、とみている。
陸自隊員の事件は現在、陸自の警務隊が捜査しているが、警務隊を統合し、独立組織とすることで、
防衛省は「『身内による捜査』といった批判を浴びずに、より公正な捜査ができる」(幹部)としている。
防衛省はすでに、機密情報の流出防止の強化に向け、陸海空3自衛隊ごとの情報保全隊を統合した
「情報保全本部」を09年3月までに発足させる方針を決めている。情報保全隊も3自衛隊に分かれていることによる
連携不足が指摘されていた。
警務隊の統合や情報保全本部設置を盛り込んだ自衛隊法改正案などは、来年の通常国会に提出される見通しだ。
一方、防衛省に新設される防衛監察本部は、法令順守や業務の適切な執行などを監督するのが業務だ。
防衛施設庁幹部らが昨年1月に逮捕された談合事件を踏まえ、先の通常国会で成立した改正防衛省設置法に、
防衛施設庁の防衛省への統合と合わせて、同本部の新設が盛り込まれた。
(2007年8月22日3時3分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070822i201.htm