【論説】 「安倍政権、逆風の秘密…マスコミも報じない『社保庁解体』『天下り対策』反対勢力のクーデター」…田原総一朗★7
・どの新聞、テレビを見ても民主党の有利を伝えている。なぜこんなにも自民党が厳しい状態に
なっているのか。そこには、新聞やテレビがなぜか全く指摘しない問題が隠されている。
小泉内閣が郵政民営化の選挙で大勝した時、僕は小泉前首相に「大勝したのだから公務員
制度改革をやればいいじゃないか」と言った。しかし、彼は「冗談じゃない」と即答した。
橋本龍太郎元首相も公務員制度改革に取り組んだ。当時はこれを行政改革と呼んでいたが、
公務員の数と給料を減らし、天下りをなくすはずが、省庁の数を減らすだけで、結局何も
変わらなかった。
小泉前首相が言いたかったことは「最初から行政改革をやると言っていた橋本内閣でも
できなかったことを、残り1年しか任期がない自分ができるはずがない。もし本当に公務員
制度改革をやろうと思ったら内閣の最初から改革案を打ち出して、調整・段取りを整えなくては
ならない。そのような準備が何もそろっていない状態で、できるはずがない」というものだった。
安倍内閣は、小泉前首相ですらできなかった、いわばタブーである二つの改革をやろうと
している。一つは社会保険庁の解体と民営化。もう一つは、公務員の天下りの改革だ。
これまで各省庁の官房長が握っていた天下り斡旋の権限を奪おうというのだ。
これこそが、今、安倍政権が非常に窮地に立たされている最大の原因だと思う。
社会保険庁の役人というのは官僚だ。官僚というのは決してクビにならない、決して
倒産しない、さらに天下りできるという、非常に安定した身分だ。それを「解体!」と言った。
だから僕は、社会保険庁がこぞって、いわばクーデターをしかけたのだと思っている。
つまり、年金がめちゃくちゃな状態であるということを、社会保険庁自らが広めたということだ。
社会保険庁の年金がめちゃくちゃな状態で、消えているのか、宙に浮いているのかすら
わからなくなっていることを、社会保険庁は厚生労働省や官邸に一切報告しなかった。
(
>>2-10につづく)
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070719_20th/index.html
2 :
名無しさん@九周年:2007/07/22(日) 01:31:04 ID:vE/Bs4se0
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| 道 頓 堀 川
(
>>1のつづき)
民主の長妻議員が社会保険庁に手をつけたのが去年6月、そして、5000万件以上
もの行方不明の年金があると発表したのが今年2月。ところが、安倍首相や塩崎官房
長官がこのことを知ったのは6月に入ってからだ。
つまり、社会保険庁は、政府・官邸には何も知らせずに「大丈夫、大丈夫」と言いながら、
民主党を中心にした野党、そして週刊誌、新聞に、いかに年金の記録がめちゃくちゃに
なっているかを、どんどんリークしたのだ。そうすることで「安倍内閣がいかに危機管理が
できていないか、社会保険庁も悪いが、全く管理できていない内閣はとても国民は信用
できない」と思わせた。
今度の参議院選挙で自民党が負けて安倍首相が退陣すれば、社会保険庁改革は消える
わけだ。社会保険庁は自分たちがクビになることを防ぎたいわけだから、安倍政権に
ダメージを与えるために、いかに社保庁がむちゃくちゃかということを、いわば自爆テロ的に
リークしたのだ。
もう一つが天下りだ。渡辺行革担当大臣が提示してこれからやろうとしている「新・人材バンク」は
官僚の天下りの権限を官房長から取り上げるものだ。
この人材バンクでは、各省庁から人を集めるのだけれど、人材バンクに集まったメンバーは
自分の省庁の人間は一切扱えない。また、天下り先の多くは特殊法人で民間の3倍だ。
今までは、まず特別法人に天下る。天下って2年か3年いてさらに天下る、さらに天下る。
この最後の天下りまで全て各省庁の官房長が斡旋をしていた。それを全部取り上げて、
人材バンクが斡旋する。しかし1回だけでその後はしない。「あとは自分で勝手にやれ」と
いうことだ。人材バンクの設置は、現役を去った以後の官僚のサイクルを断ち切ることになる。
そこで社会保険庁と全省庁がこれらに猛反発して、二重のクーデターが起きているというのが
いまの状況だ。
これまでほとんどの新聞は、安倍首相が社会保険庁の解体や公務員制度の改革を決断
できないと書いていた。しかしそれをやることになって、多くの新聞をはじめとするメディアは
安倍不支持となってきている。(
>>3-10につづく)
(
>>3のつづき)
そして財務省や経産省が本気で反安倍になると、マスコミはそれを「財務省や経産省までが
安倍首相を“見限った”」と書く。天下りに対する強烈な規制に対してすべての省庁は反発して
反対しているのだが、マスコミは「見限った」と書く。
官僚が公務員改革に反対するのはわかるが、なぜメディアも反対するのか。
ある新聞社の幹部は、「そんな改革をやったら優秀な人間が官僚にならなくなる。そうなると
日本の行く末が思いやられる。だから断固反対する」と僕に語った。また、マスコミはなんだ
かんだいっても主な情報源は官僚たちだから、官僚たちが反安倍政権になるとマスコミも安倍
不支持となるのだ。
マスコミというのは一見“官僚叩き”に見えるが、重要な情報源である官僚たちと徹底的に
戦えないのだ。そのマスコミが、「官僚が安倍政権を見限った」とやたら報じている。マスコミも
巻き込む形で、官僚たちの必死のクーデターが今、功を奏してきているのだ。
もう一つ、今起きている現象に“安倍いじめ”がある。
国民というのはサディスティックなものだ。安倍首相は祖父から3代続く“大プリンス”で、さらに
強さを売りにしていた。憲法改正、集団的自衛権、教育基本法改正、そして北朝鮮もイラクもそうだ。
強い首相として登場したのが安倍首相だった。今、その安倍首相が、官僚たちのクーデターによる
ものが大きいのだが、弱さがむき出しになってきている。
こうなると、マスコミも国民も非常にサディスティックになって「やっつけよう」となる。弱くなった
安倍首相をやっつけるのが痛快なのだ。一種の“ガス抜き”と言っていい。
さらに自民党にとって今度の選挙で分が悪いのが、候補者の“玉”の問題だ。今度の参議院
選挙の候補者を眺めると、自民党の候補者の“玉”が悪い。民主党に比べると圧倒的に悪い。
前回の2001年参議院選挙は小泉前首相の支持率が一番高かった80パーセント以上頃の
選挙で、当然落ちるべき候補がみんな当選してしまった。
安倍首相は本当は「こんな候補はダメだ」と変えたかった。小泉前首相は非情で血も涙も
ないから、候補者を全部変えたかもしれない。(
>>5-10につづく)
(
>>4のつづき)
しかし、なまじっか常識的で、小泉前首相ほど非情ではない安倍首相は、党内の大反対も
あって、ついに全員変えることができなかった。
それに対して、民主党は前回自民党に大敗したので、負けた候補を全部変えた。若い新鮮な
候補がそろっている。自民党は負けて当然の候補がずらりと並んでいる。この玉の違いが今度の
自民党の逆風というか、安倍自民党の参議院選挙の苦しさだと思う。
そのようなこともあるが、基本的にはここまで述べた問題こそが決定的に安倍内閣に不利な
要因となっている。この構造を理解しないと政治はわからない。
こうしたことを新聞もテレビもほとんど報道しない。故・松岡前農水大臣がどうとか、赤城農水
大臣や伊吹文部科学大臣がどうしたということばかりやっているのだ。
小泉前首相は公務員制度改革はよほど準備をして根回ししてやらないと難しいと言っていたが、
安倍首相はそこが足りなかった。甘く考えていたと言えるかもしれない。そのために官僚の
クーデターに遭って苦しんでいる。
社会保険庁の解体・民営化も、新・人材バンクも、今度の選挙で安倍内閣が負けて安倍首相が
退陣したらご破算になる可能性がある。だから、官僚たちは何としても安倍内閣を潰さなくては
ならないとその機会を狙っている。
さらに自民党内部からも、経世会を中心に、官僚制度を守りたい人たちが「公務員制度改革を
して人材バンクのようなものをつくったら、優秀な人材が官僚にならないから反対だ」と、公然と
言い始めている。新聞も、「反安倍」ばかり大きく報じる状態だ。「“美しい国”とはなんだか
わからない」など、新聞ではここのところ連日「安倍批判」というものが展開されている。
このように、社会保険庁解体と公務員制度改革は、自民党内外からの安倍政権への逆風と
なっているといえるだろう。だが、この安倍政権への逆風を仕掛けたのはとりも直さず官僚であり、
自民党内の反安倍勢力である。そしてそれを煽っているのがマスメディアだ。その壮絶な反撃に
安倍政権が苦境に立たされているというのが、参院選を前にした今の状況なのだ。(以上、一部略)
※前:
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1184998077/