(前略)
中国は1月に、自国の気象衛星を標的に衛星破壊の実験を実施し、米国や日本は
中国の暴挙を一斉に非難した。出席者の顔ぶれの中にはクリントン政権当時の
レイク国家安全保障担当補佐官とホルブルック国連大使の重鎮二人と並んで
民主党大統領候補としてクリントン上院議員を急追しているオバマ上院議員のアドバイザーもいる。
中国大使館の安全保障担当は発言を求め、「米国の衛星が中国の脅威なのは当然」。
一呼吸置いた後、「でも軍部との対話は難しいね」と言ってのけた。
中国といえば党の指示通り、大国の横暴ばかり非難すると思いきや、あっさりと
本音を公言、会場は沸いた。それにつられたのか、衛星破壊批判では共和党と
一致しているはずの民主党系の専門家が、「破壊実験は宇宙の軍縮管理に消極的な
ブッシュ政権に警告したかったのだろう」とボルテージを下げた。
目の前で演じられた米中のゲームに日本政府からの参加者は沈黙したままだった。
「最近の国際会議ではよくあるパターン」と会議を傍聴した知り合いの知日派米国人は言う。
日本は米中のはざまに埋没している。
(中略)
ヒル氏は2005年4月に次官補就任のあと、ライス長官を説き伏せて平壌に乗り込もうとしたが、
強硬派の総帥、チェイニー副大統領の了解が必要だった。「副大統領はホワイトハウスの執務室で
案を一べつするや、キミね、核疑惑のならず者国家と二国間交渉できると思うのか、と冷たい目を向けた。
われわれは言葉を返せずそのまま部屋を出た」(ヒル氏に近い筋)。
その副大統領自身、腹心のリビー元副大統領首席補佐官の米中央情報局(CIA)工作員身元
漏えい事件での司法妨害罪などで力をそがれてしまった。
「ヒル次官補の独走をやめられる者はホワイトハウスにもいなくなった」(元国務省幹部)。
日本はネオコンという強力な後ろ盾を失ったばかりではない。ワシントンの知日派の大半が政権から離れた。
(後略)
*+*+ Sankei Web 2007/07/08[08:23] +*+*
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070708/usa070708000.htm