★防衛白書 海外活動の検証十分か '07/7/7
脅威が多様、複雑になり、その顕在化を正確に予測することが困難になっている―。
防衛省に昇格して初の2007年版防衛白書は、わが国を取り巻く安全保障環境をそう表現する。
国際テロ組織の拡大などがある。中でも、急速な軍事力近代化を進める中国への懸念を強く
打ち出しているのが特徴だ。海、空軍の展開など防衛の範囲を逸脱している可能性に初めて言及した。
国防費が19年連続で2ケタの伸びを示しながら、内訳の詳細が不明瞭な疑念もある。
中・台の軍事バランスは中国側に有利な状態へ向かって変化していると分析。(中略)
こうした状況下、防衛のための諸施策で力説するのが日米同盟の強化である。
ミサイル発射に対し、ミサイル防衛(MD)システムの早期構築を強調する。
日米安保体制の維持・強化も同様だ。昨年5月に日米間で取りまとめた在日米軍再編の最終報告は、
安保体制を一層実効性あるものにするというわけだ。
日米安保体制が防衛の根幹であるのは言うまでもない。だが友好国との協力が必要としながら、
「唯一の超大国の米国」との関係を前面に出しすぎではないか。
在日米軍再編では、基地がある地元の負担を軽減するという。
一部当たっているかもしれないが、反論もある。米海軍厚木基地から空母艦載機の移転計画のある
海兵隊岩国基地では、艦載機の受け入れをめぐり市政が混乱している。
この国会で成立した米軍再編推進法によるアメとムチ。重荷以外のなにものでもないはずだ。
省昇格とともに、自衛隊の海外派遣が本来任務になるのをふまえ、海外活動に取り組むための
体制整備や企画立案機能の強化などを打ち出した。昨年イラクから撤収した陸自の活動実績などが
強調されているのが目立つ。問題点を含めた検証がされたのだろうか。
装備などに依存するだけでなく、関係改善への動きが出てきた中国などと対話を深める外交戦略も重要だ。
防衛政策のもう一つの原則も忘れてはならない。
全文は
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200707070093.html