【地域/長崎】パソコンのフォントは美しくない 書道家が書体7400字制作

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1なべ式φ ★
平戸市宮の町の書道家・立石利一郎さん(53)が、パソコン用フォント(書体)に美しい文字を
使ってもらいたいと、楷書(かいしょ)七千四百字を書き上げた。目指したのは「ネクタイを
締めた楷書」。賞状や看板、墓碑銘、習字の手本などで実用化を目指している。

「パソコンの文字はしゃくし定規に作っていて不格好」。書体制作に取り掛かった動機を立石
さんはこう話す。

例えば、「俔」と「例」。同じ人偏でも書業の実践では、旁(つくり)によって「イ」の大きさと形は
変わる。だが、立石さんが見たパソコン文字では、人偏の字に同じ大きさ形の「イ」が並んで
いた。

書道家から見たパソコン文字は、完成度が低い。立石さんは「パソコン万能主義の人は、既存
の書体を模範的な文字と思い込んで使っている。『パソコンの字だから美しい』と思われるのは
悲劇的」と危機感を抱く。

制作にあたっては、唐時代に確立され日本でアレンジされた技法を用い、「歴史の薫りを
三センチ四方の中で表現するのは至難の業だった」と振り返る。漢和辞典一冊分にあたる
七千四百字を仕上げるには、三年五カ月かかった。

平戸市で陶器店を営み書道家・篆刻(てんこく)家として活動している立石さん。「子どもの手本
となるような字を残したい。フォーマルな用途で役立てば」と話している。

http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070621/05.shtml