<高血圧に覆われる>
http://www.the-miyanichi.co.jp/column/index.php?typekbn=1&sel_group_id=6&top_press_no=200706182301 昨年6月は、老齢者控除が全廃されて市町村の住民税係は説明に追われた。280万円
の年金生活夫婦の場合、8倍の約3万1千円になった。相談という名の苦情だった。
その2カ月前には介護保険料が平均24・5%引き上げられていたから、高齢者は怒り心
頭に発し、本紙へも投書が相次いだ。マグマのような憤懣(ふんまん)を抱え込むこと1年。
今度は社会保険庁から5千万件も年金記録が消えたという悪夢のような話が降ってわい
てきた。
「プッツン」。脳の奥で血管が切れたような音を聞いた人が多いのではないだろうか。社会
保険事務所は相談者の人いきれでむせ返っている。もう、社保庁の職員が街頭で必死
にちらしを配っても火に油を注ぐ結果にしかならなかった。
さんざん待たされた揚げ句、自宅に帰ると住民税の納付通知書が届いている。「国(所得
税)から地方(住民税)へ税源移譲が行われます。所得税と住民税の負担は基本的に変
わりません」とある。じっくりと見てみると、小さな字で以下のように説明してある。
「なお税源移譲とは別に定率減税の廃止による負担増がありますのでご理解をお願いし
ます」。年収500万円の4人家族は1万7600円負担増となる。独身者の負担はさらに
増し、もちろん年金者世帯も減税廃止の波をもろにかぶる。
所得税が1月から先行して減っていたから住民税はどんと増える。住民税をもとに算定す
る国民健康保険料や保育料にも影響が出てくる。今年6月の日本は低気圧ならぬ高血
圧に覆われ死亡率が一時的に高まるかもしれない。冗談抜きに。
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