三菱重工長崎造船所で働きじん肺になったとして、元従業員ら六十人が三菱重工
(本社東京)に総額約十三億七千万円の損害賠償を求めた「三菱長船じん肺第二陣
訴訟」の和解協議が五日、長崎地裁(田川直之裁判長)であり、地裁が提示した総額
六億円の和解案を三菱側が拒否。原告が望んだ「早期解決」は遠のいた。判決は
七月三十一日に言い渡される。
和解案は、造船じん肺訴訟としては全国で初めて三菱従業員と下請け、孫請け会社
の従業員を区別せず、原告全員を救済する内容だった。三菱側が原告三人のCT
(コンピューター断層撮影)鑑定結果を無断で別の医師に見せたことについて「じん肺法
の秘密保持規定の趣旨に反する」と厳しく指摘していた。
和解決裂を受け、原告団と弁護団は「和解拒否は『じん肺加害企業』としての社会的
責任を否定する暴挙。これ以上の訴訟の長期化は原告患者に一層の苦しみを与え
続けるだけ。強い怒りをもって抗議する」との声明を発表した。
三菱重工長崎造船所総務課は「和解案ではCT鑑定による原告三人の診断結果を
認めながら、ほかの原告についてはCT鑑定なしでじん肺と認定しており、CT鑑定の
有効性に関して一部受け入れがたい部分があり、判決を待つことにした」とコメントした。
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji2/2007060501.shtml