★関テレ、経営体制刷新を発表──民放連復帰へ改革アピール
関西テレビ放送(大阪市)は30日、情報番組の捏造(ねつぞう)問題を受けて、
経営機構の刷新を発表した。執行役員制度を導入して20人の取締役を半減、
社外有識者も取締役に招請する。再発防止に向けた「経営刷新」を強調し、
除名を受けた日本民間放送連盟への再加入をアピールするのが狙い。
ただ、経営改革を実現するにはこれまでの意思決定の仕組みを真に変えられるか
どうかにかかっている。
30 日の記者会見で片岡正志社長(62)は「再発防止・再生に取り組み、
一刻も早く民放連に戻りたい」と強調した。今回の人事で退任する取締役は14人に上る。
片岡社長が「残ってほしいとお願いした」前社長の千草宗一郎取締役(63)も一転して
退任するほか、社内外の信頼が厚かったナンバーツーの山本紘専務(64)も退任する。
(中略)
一方でキー局のフジテレビジョン出身で実力者とされる出馬会長、志村義奉常務(63)は留任する。
片岡社長は「経営の責任は(会長でなく)社長にある」「東京支社担当の志村常務は
直接番組制作は担当していなかった」と苦し紛れの答弁に終始した。社内処分を受けた
志村常務は関係会社へ出向する案も一部浮上したが、出馬会長の意向が色濃く反映し
留任となったもようだ。
これまで関テレの意思決定は主要幹部による常務会が中心だった。
実力会長の意向を重視し、取締役会の形骸化による経営監視機能の薄れが番組捏造の
温床となったとの指摘を受けていた。元検事総長の土肥孝治氏(73)、大阪大学大学院教授で
関テレ外部調査委員を務めた鈴木秀美氏(47)を社外取締役として起用することで取締役会の
権限強化が図られ、一定の経営監視機能が強化されるとみられる。
関テレの今期は増収となる見通しだが、捏造問題が広告収入に影響する懸念も出ている。
「真の再生」を遂げるべく取締役会を運営できるかはローカル局特有の少数幹部で意思決定する
なれ合い体質を脱却し、片岡社長をはじめ、今回の危機をどれだけ認識できたかどうかにかかっている。
日経ネット関西版
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/40223.html