社会保険庁が管理する年金保険料の納付記録のうち約5000万件が該当者不明となっている問題で、
政府は23日、現在の年金受給者約3000万人を対象に、該当するものがあるかどうか調査する方針
を固めた。
与党は、年金支給漏れの被害者救済のための議員立法「時効年金救済法案(仮称)」の中に、調査を
義務づける規定を盛り込む。安倍首相は25日の衆院厚生労働委員会で、支給漏れ対策への協力を表明
する見通しだ。
与党が法案に調査規定を盛り込むのは、ずさんな対応を繰り返している社会保険庁が確実に調査を行う
よう義務づける狙いがある。
約5000万件の記録は社保庁が管理するコンピューターに保存されている。調査は、受給者の「氏名」
「生年月日」「性別」などの情報で記録を検索し、該当者かどうか特定する。記録が受給者と結びつけば、
受け取る年金額が少なくなる「支給漏れ」の救済につながる。
ただ、氏名や生年月日などが誤って登録されているケースも少なくない。調査では、他人の記録を間違っ
て受給者に結びつけないよう〈1〉受給者本人の記憶の有無〈2〉記録の内容が証明できる領収書や給与明細
など証拠の有無――などの確認作業を行う方針だ。
納付記録は、一人の加入者が複数持っていることが少なくないため、5000万件の記録が何人分に相当する
のか不明だが、調査結果次第では、新たに数百万人規模の支給漏れに発展する可能性もある。
政府は当初、「受給者からの申し立て」がない自主的な調査には消極的だった。しかし、与党内からも「参院選
を前に、年金への不安感を解消すべきだ」との声が高まり、方針を転換した。
■ソース(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070524it01.htm