今回の統一地方選から首長選に限り、ローカルマニフェストが導入された。
それぞれ十五日と十七日告示の県内二市長、二町長選では立候補者の
「約束事」を盛り込んだビラを作製、有権者に配布している。
「実績」の現職と「新鮮さ」の新人―候補者の背景だけを切り取っただけの
そんな対立像に対し、具体的な内容が勝負のローカルマニフェストは
候補者の政策立案能力が試される。公約を言いっ放しにさせないためには、
冷徹な有権者の監視も求められそうだ。
「―を実現します」「―を充実させます」。花冷えに小雨が重なった十七日の告示日。
現新二人が出馬した入間郡毛呂山町長選では、それぞれの立候補者の陣営が町内で
マニフェストを配った。
公選法で定められた配布枚数は五千部。陣営の一方は街頭演説の場所ごとに小分けし、
二十〜三十人がかりで手渡す作戦に出た。選対事務局は「選挙公約と合わせて
投票依頼ができる。やはりマニフェストはプラスだ」と歓迎する。文面に目を通した
葛西昭夫さん(72)は「本人が何をしたいのかが見えてくる」と話した。
政令指定都市以外の市長選で配ることのできるマニフェストは一万六千枚以内。
村長選なら町長と同じ五千枚以内だ。枚数が超過しないよう、一枚ずつ自治体の
選挙管理委員会の証紙を張る。大きさもA4判以内と制限されているが、
「選挙運動として配れるので、有権者の知る機会を拡充させる」(県選管)と言う。
四市町では選挙に先立って、実行委や青年会議所の主催で立候補予定者の
公開討論会が開かれた。予定者本人からマニフェストを発表してもらい、投票行動への
参考とするのが狙いだ。会場では、両候補予定者がまちの展望をめぐって具体的な
意見を示し合った。
毛呂山町で討論会を企画した実行委の石田友克さん(36)は
「いくらマニフェストといってもチラシだけでは分からない。討論会とセットで
やるべきだ」と主張する。
ただ、当選した首長の達成目標をチェックする機能は十分に確立されていない。
石田さんは「あくまで監視役は住民」とした上で、「住民の側からもマニフェストを
作成し、互いの緊張関係をつくらなければならない」とも訴える。
埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news04/18/02p.html