総合的な自殺対策について、内閣府の検討会がまとめた報告書(素案)の全容が分かった。社会全体で取り組む
必要性を強調し、青少年と中高年、高齢者の三つの世代別に自殺の特徴を分析し、対策を例示したのが大きな特徴だ。
また、数値目標は自殺者減少の実現性を高めるため、自殺者数全体だけでなく、個別の施策でも設定すべきだと提言。
報告書は政府が今年6月に策定する自殺対策大綱のたたき台になるもので、4月上旬に最終決定する見通し。
「自殺総合対策のあり方検討会」の素案は、自殺者が「必ずしも十分な判断力を持って自己決定をしているわけでは
ない」と分析。心の中で「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動き「助けてほしい」「気づいてほしい」サイン
を発していると指摘。それに気づいて専門家につなぐことで、多くの自殺は避けられるとしている。
具体的には、世代別に自殺の特徴と対策を提示。青少年は「思春期を迎えるなど精神的な安定を損ないやすい時期」
と位置づけ、学級担任や養護教諭らに、自殺のサインに気づき、それに対応するための自殺予防教育を実施すべきだとする。
医師に相談しないことが多い中高年の場合は、うつ病のサインなどに周囲が早く気づき、精神科医らの治療を受けさせるこ
とが重要として、専門家による地域や職場内での支援体制整備を求める。高齢者は、多くが内科医などを受診していることから、
かかりつけ医のうつ病の診断・治療の資質向上を図ることを挙げた。総合的な自殺対策では、自殺の背景の調査研究や国民の理解、
人材の確保なども掲げた。
数値目標は全体数に加え、自殺率の高い世代などへの重点的な目標設定を提案。一般医のうつ病診断率や職場のメンタルヘルスの
取り組み状況などにも、目標を設定すべきだとしている。
国や自治体などに責務を課した自殺対策基本法が昨年6月に成立(10月施行)。政府が推進すべき自殺対策の指針として、自殺対
策大綱の策定を義務付けた。内閣府の検討会は昨年11月に設置され議論を重ねていた。【玉木達也】
最終更新:3月29日3時5分
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