・春は年間の引っ越し件数の3割以上が集中するといわれる「大移動」の季節だ。ただここに
来て、引っ越し業者をめぐるトラブルが増加傾向にある。中でも多いのが「業者が約束を
守らない」という基本的なもの。
国民生活センターは先月、引っ越しサービスをめぐるトラブルの実態をまとめた。平成13年度は
1841件だった相談件数がここにきて急増し、17年度には2500件を超えた。月別に見ると、
3、4月のこの時期の相談が特に増えている。
苦情で最も多いのは「『約束の時間に来ない』に代表される『約束不履行』です」と説明するのは
同センター相談調査部の浦川有希さん。過去5年間で、2453件と他の苦情を抑えてトップと
なった。中には「引っ越しスタッフが女性だけということで契約したが、実際来たのは全員男性
だった」という笑えないケースもある。
トラブル増加の背景には、業界の内部事情もあるという。
住民票の移動数が年間で最も多かったのは高度成長期の853万人で、17年は約560万人
までに減少。「少なくなったパイを取り合う状況になっている」と、全日本トラック協会輸送
サービス室では解説する。
“いまどき”のトラブルも報告される。
「ネットの発達で、意外なトラブルが出てきています」と指摘するのは、情報誌「引越
情報」を発行するHJ引越情報代表の有馬寛治さん。
有馬さんは、いくつもの業者の料金を比較できる「料金比較サイト」の存在を指摘する。
「ネット上に安い金額を提示して、契約を結ぶことを最優先にする業者が増えています」と
有馬さんは解説する。消費者としてはつい安い業者を選んでしまうが、有馬さんは「安いのには
理由があって、梱包が雑だったり輸送が乱暴だったりと、満足なサービスがともなわないことが
ある」と指摘する。
また、「フリー便」「午後便」とも言われる時間指定なしで料金を割り引くサービスを用意する
業者が増加しているが、これにも注意が必要だという。「『午後からうかがいます』という約束を
しながら、作業が遅れ、深夜零時近くに来たという報告もあります。結局、値段だけで安易に
選ぶことは避けたほうがいい」(有馬さん)(抜粋)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/44403/