政府が先に閣議決定した在日米軍再編促進特別措置法案は、再編の進ちょく状況に応じて交付される
再編交付金制度と、在沖縄海兵隊のグアム移転費用を負担するために国際協力銀行(JBIC)の業務
に特例を設け「再編実現に向けた強い意思を示す」(防衛省幹部)ものとなった。ただ、再編を受け入
れていない自治体への効果は未知数。米軍再編全体の経費も不明で、国会でも大きな論点となりそうだ。
再編交付金は(1)政府案受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設着工(4)再編実施−−の
4段階で関係市町村に交付される。政府案を受け入れた市町村に対し、段階的に「アメ」を与える一方、
容認していない自治体には「ムチ」となる仕組みだ。
久間章生防衛相は法案が閣議決定された9日、山口県岩国市の井原勝介市長と会談。井原市長は市庁舎
建設のための補助金を求めたが、久間防衛相は「再編で反対と言っているのに、(交付金を)出すのは
難しい」と、再編交付金での措置をにおわせながら空母艦載機の移転容認を迫った。
しかし、こうした「アメ」と「ムチ」が、再編を受け入れていない自治体にどれだけの効果をもたらすか
は未知数だ。岩国市は補助金を打ち切られ苦しい立場となるが、沖縄県はそもそも100億円の北部振興策
が07年度予算に盛り込まれており、法案による「ムチ」の効果は低い。
もう一つの問題点が在日米軍再編全体にかかる経費が算定できていないことだ。6日の自民党国防関係
合同部会では「日本がどれだけ負担するかを言えないようでは、国会審議が持たない」との意見が出た。
(続く)
■ソース(毎日新聞)【山下修毅】
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20070212k0000m010052000c.html >>1の続き
米軍再編を主導したラムズフェルド国防長官が昨秋の米中間選挙敗北を受け辞任。日米防衛首脳会談はその後
一度も開かれていない。自民党
国防族からは法案成立に向け「担当閣僚同士で再編を確実に実施することを確認する必要がある」との声も聞かれる。
◆在日米軍再編特措法案のポイント◆
▽再編の進ちょく状況に応じ関係市町村に交付金交付
▽負担の大きな市町村の公共事業に対し、国の補助率引き上げ
▽在沖縄海兵隊のグアム移転のため、国際協力銀行(JBIC)の業務に融資や出資を可能とする
特例を設ける
▽17年3月まで10年間の時限立法
(以上)