「水に『ありがとう』で綺麗な結晶に」教室でのニセ科学…毎日特集
◇「水に『ありがとう』できれいな結晶に」疑問感じず安易に拡大
関東地方の理科教師(52)は昨年秋、中1の教え子から提出された夏休みの
自由研究を前に考え込んだ。
カイワレ大根の成長が、人間の言葉の影響を受けるかどうかを調べた観察記録だ。
二つの容器にほぼ同数の種をまき、同じ条件で育てる。「ありがとう」と声をかけた容器と
「ばか」と声をかけた容器で、育ち方に差が出るかどうかを、生徒は2週間にわたって
詳しく観察していた。
写真集は「ありがとう」「平和」という言葉やクラシック音楽を「聞かせた」
「見せた」水は美しい氷の結晶を作るが、「ばかやろう」やハードロックでは結晶が
乱れたり結晶にならない、と主張。
人の生き方や言葉のよしあしを水が教えてくれると説き、これを教材に授業をする
教師も出ていた。
生徒の観察記録は、発芽率や伸び具合を測定せず、外見を生徒なりに判断していた。
観察記録の写真ではどちらのカイワレも同じように不均一に写っていたが、生徒は
「『ばか』と言い続けたら、育ち方が不均一になった。言葉が成長に影響すると
分かって驚いた」と結論づけた。
「疑問を検証しようという意欲は評価したいが……」と教師。最後のページに
「面白い実験研究です。ただ、言葉が物体に影響を及ぼすことはありません」と
書き込んだ。
菊池誠・大阪大教授(統計物理学)は「水が言葉の意味に影響を受けることは
あり得ない」と断言。
「言葉の意味は使われる場面によって変わるし、結晶の美醜で物事の善悪を
判断する点もおかしい。道徳的にいい話とも思わない」と写真集の内容を批判する。
ttp://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20070207ddm016070095000c.html