【裁判】 ドン・キホーテ放火で3人死亡させた女に、無期懲役を求刑

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390死刑求刑でない理由
「なぜ死刑求刑ではないのか?」
それは、結論から言えば、検察が殺意(確定的殺意も未必的殺意も)を立証することが
できなかったからです。
仮に、殺意を立証できていれば、検察は死刑を求刑していたでしょう。
現住建造物放火罪の法定刑は「死刑又は無期又は5年以上の懲役」であり、放火は一般
的に重罪なのですが、最高刑に死刑を規定している点については、建前にすぎません。
条文上は、殺意がなくても、もっと言えば、死者やケガ人すら出ていなくても死刑を
科すことができますが、事実、ここ30年で、殺意なく放火して人を死亡させた被告人に、
死刑判決が出た例は1件もありませんし、死刑を求刑された例もありません。

放火であれ、強盗致死であれ、殺意がない致死犯罪の場合、条文上はともかく、事実上は
死刑になることはないのです。

その例をいくつか挙げておきます。

◆新聞販売店に放火し、5人を死亡させた被告人(現住建造物放火等)に求刑通り無期懲役
の判決(平成11年12月17日大阪地裁判決)
◆憂さ晴らしで民家に放火し3人を死亡させた被告人(現住建造物放火等)に求刑通り無期
懲役の判決(平成13年2月28日静岡地裁判決)
◆消防士ら3人を飲酒させた上睡眠薬を飲ませて死亡させ現金を強取した被告人(強盗致死)
に求刑通り無期懲役の判決(平成11年7月8日水戸地裁判決)

このほか、昨年11月27日には、多数の女児に乱暴した上、放火で5人を死亡させた尾上力被
告にも、無期懲役が求刑されています。
http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya112710.htm

放火で死刑になるのは、殺意があった場合、つまり、殺人や強盗殺人との観念的競合事案のみです。
そのような事案(たとえば宇都宮宝石店放火事件のようなケース)であれば、放火の法定刑にかか
わらず、最高刑は死刑となりますから、現住建造物放火罪が最高刑に死刑を規定しているのは、先ほ
ども述べましたが、建前に過ぎません。