【社会】「親族の名前を書いた紙を踏み字させられた」　県議選買収、捜査の違法性認め鹿児島県警に支払い命令

２００３年の鹿児島県議選を巡る公選法違反事件で買収工作をしたとして逮捕され、不起訴
（起訴猶予）となった同県志布志市志布志町、ホテル経営川畑幸夫さん（６１）が「親族の名前
を書いた紙を踏まされるなど違法な取り調べで、肉体的、精神的苦痛を受けた」として、
県に２００万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が１８日、鹿児島地裁であった。

高野裕裁判官は「取り調べ手法は常軌を逸し、公権力をかさに着て川畑さんを侮辱するもの」
などと捜査の違法性を指摘し、県に６０万円の支払いを命じた。県側は控訴を検討している。

訴訟で、川畑さんは逮捕前の０３年４月、県警志布志署で任意聴取を受け、
「こんな人間に育てた覚えはない・父親」「早く正直なおじいちゃんになって・孫」などと、
聴取した警部補が勝手に作った親族からのメッセージと称する紙（Ａ４判３枚）を１０回ほど踏まされたと訴えた。

判決で、高野裁判官は「少なくとも３回踏ませた」と認定。「足先を１回だけ紙の上に置いた」
とする警部補らの証言の信用性を否定し、「仮に１回でも、足先だけでも、違法性は十分」と断じた。

判決によると、川畑さんは０３年４月の県議選曽於（そお）郡区で初当選した中山信一被告（６１）
（０３年７月に辞職、公選法違反罪で１審公判中）を支援するため有権者に現金を配ったとして
同７月に逮捕された。２０日間の拘置後、釈放され、同１２月、不起訴となった。

（2007年1月18日20時49分 読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070118ic09.htm